Column14 「三日とあけず通いつめる」?

 突然ですが問題です。次のうち、正しい表記はどれでしょうか。


①三日とあげず通いつめる。

②三日とあけず通いつめる。

③三日にあげず通いつめる。

④三日にあけず通いつめる。


 意味は「三日とたたないうち」や「しばしば」という意味です。

 四つの例文を良く見ると「と」と「に」の違いと、「あげず」と「あけず」の違いがあるのが分かります。

 一つずつ声に出してみると、聞き馴染みのものも出て来そうです。

 私は、②を聞いたことがあるなぁと思いました。しかも「三日とあけず通いつめる」を噛み砕くと、「三日も通いつめる」とも考えられるので、そうだとばかり……。(つまり②ではないということですね<笑>)



 さて、そろそろ答えは出たでしょうか。

 正解は――③です。どうでしょう。当たっていましたか?


「三日にあげず」というのは、慣用句です。

 慣用句について調べると「習慣的に二つ以上の語が結合した形で使われ、全体である特定の意味を表わすもの『明鏡国語辞典 第三版』」とあります。そのため「三日にあげず」も二つの語が合わさって、特別な意味が出来ているというわけですね。


 しかし「三日」の意味は分かっても、「あげず」は何なのか分かりませんよね。これは漢字を入れると「上げず」と書き、「間をあけず」という意味なのだそうです。よって、「三日にあげず」で「三日間とたたないうち」とか「しばしば」という意味になります。


 それにしても「三日とあけず通いつめる」だって、「三日とあけずに」という意味として使えそうなのに、なにゆえ「『三日にあげず』と書くのだろう」と疑問に思うかと思います。それは「三日にあげず」が、「三日間空けずに」だけの意味ではなく、「頻繁に」とか「しばしば」という意味も含んでいるからではないかと推察します。


 音だけで覚えていると「三日とあけず」と書きそうになりますが、「三日にあげず」と使えるといいですよね。

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