Column13 「こじんまり」?

 ――こじんまりとした家。


 つい先日、私自身が物語の中で使った言葉です。ふと語源を知りたくなり辞書を引いてみたのですが、見出しには「こぢんまり」と出ており、自分の認識違いを反省しました(汗)


「こぢんまり」の語源は、「こ」+「ちんまり」というのが有力のようです。そのため、「こぢんまり」と書くのが適切であるということが『明鏡国語辞典 第三版』には書いてありました。

 しかし、もう一つ説があって「こしまり(小締まり)」が転じたものでもあるのだとか。そのため「こじんまり」という表記も許容されているとのことです。


 では他の辞書はどうか。

 そう思い、出典の古い作品を確認することができる『精選版 日本国語大辞典』を引いてみました。すると「こぢんまり」の用例に、「若裏に小〆コジンマりとしていた家があるから」(人情本・春色梅児誉美<1832-33>後)が挙げられています。『精選版 日本国語大辞典』ははっきりとは書いていませんが、どうやら「こしまり(小締まり)」の説を取っていることが分かります。


 その一方で、『岩波国語辞典』は「こ+ちんまり」の説を、『デジタル大辞泉』ですと「こしまり(小締まり)」の説を書いています。つまり辞書編纂者の見解も、ばらばらと言うことですね。


 さらに、『三省堂国語辞典 第八版』の場合だと少し見解が違います。「こぢんまり」という表記が一般的であることは同じですが、「こじんまり」という書き方になって来たのは「ちんまり」の意識が薄れてきたためだと書いてあります。


 一つの言葉をとっても、辞書によってこんなにバラバラな見解があるのは面白いですね。言葉が如何に、捕まえるのが難しいのかがよく分かります(笑)


 結論として「こぢんまり」が一般的ではありますが、「こじんまり」も許容のようです。皆さんは、どちらの表記を使うでしょうか。

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