Column3 「この度入籍いたしました」?
——この度、入籍いたしました。
芸能人の結婚のニュースや、職場の同僚が結婚した際にもこのような報告を受けたことはないでしょうか。
戦前は家制度のことがあったので、このような言い方でも構いませんでした。『毎日ことば』に下記のようなことが書かれていたので引用いたします。
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戦前は、いわゆる家制度で、「妻は婚姻によって夫の家に入る」と旧民法の条文に書かれていました。例外的な場合を除いて、夫の入っている戸籍に妻が加わる仕組みで、女性にとって結婚することは「入籍」にほぼ当てはまっていたと言えます。
(『毎日ことば』 「入籍する」→「婚姻届を出す」より)
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しかし現在は違います。初婚の二人が結婚する場合、双方が入っていた親の戸籍を抜けて新しい戸籍が作られます(戸籍法より)。そのため「入籍しました」と言って結婚の報告するのは、正しい表現ではないのです。
ただ、結婚の種類によって「入籍しました」と言える場合もあります。
離婚経験がある方や、親の戸籍から抜けている方と結婚する際はこれに当てはまります。それは既に作られた戸籍に新しい配偶者が入るため、これは「入籍」と言うことができるのです。
辞書では下記のような書き方がされています。
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【入籍】『明鏡国語辞典 第三版』
養子縁組や結婚によって、ある者がある戸籍に入ること。また、入れること。
▽初婚の二人が親の戸籍から離れて新たな戸籍を作る場合に「入籍」と言うのは、不適切。
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しかし、近年「入籍」=「結婚」という風に使う方が増えている(というより、周囲の人も、芸能人もそういう報告をしているので「入籍する」というのが正しいと思っている方が多いように感じます)ので、『三省堂国語辞典』では次のような書き方をしていました。
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【入籍】『三省堂国語辞典 第八版』
①すでにある戸籍に、ある人<が はりる/を入れる>こと。
②[俗]結婚して新たに籍を作ること。
▽籍を入れる。
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テレビなどに出ている影響力のある方々が、当然のように「入籍いたしました」と使っていますし、それを「違うよ」という方もあまりいないので(私が気づいていないだけでしょうか?)、現在もこの言い方をしている方がちらほらといらっしゃるようです。
「入籍」=「結婚」と思っている方は気にならないかもしれませんが、戸籍法を知っている方からすると、ちょっと気になる表現かなと思います。
<参考URL>
『毎日ことば』 「入籍する」→「婚姻届を出す」より
https://mainichi-kotoba.jp/photo-20210321
『festaria journal』「入籍しました」と伝えるのは間違い?結婚・入籍の違いを解説
https://www.festaria.jp/journal/register/60
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