Column6 「ぜひ読んでみてはいかがでしょうか」の問題点
——面白い作品ですので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
今は使わないように気を付けている表現なのですが、上記は少し前まで私がよく使用していた一文です。
レビューを書いたり、『問わず語りに作品紹介』で作品紹介をしたりした際、読んで下さった方に対して「読んで欲しいけれども、あまり押しつけがましくないように……」という気持ちで書いていたのですが、これは文章として誤っています。
「ぜひ」とは「あることの実行・実現を強く望む気持ちを表わす」言葉です。(『明鏡国語辞典 第三版』より)
それに対して「いかがでしょうか」という相手に委ねるような言い方をする言葉を組み合わせてしまうと、「強く望んでいるの? それとも委ねているの?」と頓珍漢な内容になってしまいます。
ただテレビや新聞などでも、地方の名産品や食べ物を紹介するときなどに、「ぜひ召し上がってみてはいかがでしょうか」「ぜひ参加してみてはいかがでしょうか」と使われていることがあるようです。
毎日新聞の校閲記者の方が連載している『毎日ことば』では、「ぜひ~してみてはいかがでしょうか」という使い方に関するアンケートを行ったようなのですが、そのうち5割の方が「おかしい」と感じているようでした。また、「強く押したいところだけれど、押しつけがましくならないように……」という意図が掴めているかを確認したところ、2割の方くらいにしか伝わっていないかったようです。
このことから「ぜひ~いかがでしょうか」の表現は「ぜひ~して下さい」や「~してみてはいかがでしょうか」と言い換えるべきなのでしょう。
読んでいる人のことを考えて、控えめに書いているつもりが意図が掴みにくい文章になっていたようなので、今後レビューを書くときなどは気を付けたいものです……。
<参考URL>
『毎日ことば』「『ぜひ』と言うなら文末もきっぱりと」より
https://mainichi-kotoba.jp/enq-380
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