◇閑話◇ ニュースで訂正された「喧々諤々」

 七月八日に放送されたNHKのニュースで、「喧々諤々ケンケンガクガク」が訂正されたのを拝見しました。後にネットで検索を掛けると、「間違いって、知らなかった!」という声が多数上がっていたことが記事になっていました。


「喧々諤々」については、『NIHONGO』でも取り上げたことがあります。この言葉は元々「喧々囂々ケンケンゴウゴウ」と「侃々諤々カンカンガクガク」の二つの言葉が合わさって出来た言葉です。

 折角ですので、改めてここでその意味を確認しましょう。


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喧喧囂囂ケンケンゴウゴウ】『明鏡国語辞典 第三版』

 多くの人が口やかましく騒ぎ立てること。喧囂けんごう

 (注意)「喧々諤々ケンケンガクガク」は、「喧喧囂囂」と「侃侃諤諤」と混同した語。口やかましく議論する意で使うのは誤り。

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侃侃諤諤カンカンガクガク】『明鏡国語辞典 第三版』

 互いに正しいと思うことを堂々と主張し、大いに議論すること。侃諤かんがく

侃侃かんかん」は信念を曲げないさま、「諤諤がくがく」はありのままをずばりというさま。

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『NIHONGO』で紹介した際は、『明鏡国語辞典』と『広辞苑』の語釈を比べました。二つの辞書を比べたのは、前者が「『喧々諤々』は間違い」としている一方で、後者は誤りとは書いていなかったため、良い比較になると思ったからです。



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喧々諤々ケンケンガクガク】『広辞苑 第六版』

(「喧喧囂囂」と「侃侃諤諤」とが混交して出来た語)多くの人がいろいろな意見を出し、収拾がつかない程に騒がしいさま。

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『広辞苑』は、分厚いながらも購入数が多いとされている中型の辞書ですし、国民のほとんどが知っているという知名度もあります。それ故に、NHKでも『広辞苑』の内容を採用し「喧々諤々」を使ったのかと思ったのですが、「正しくは『侃々諤々かんかんがくがく』でした」と訂正していたので、これまだ誤用として認識されているのだという確認ができました。

 また、アナウンサーがつい口にしてしまうくらいですから、世には「喧々諤々」が結構広まっているのだなということも感じます。


 これらのことから、普段何気ない生活の中で話す分には「喧々諤々」と言っても通じると思いますが、改まった場で使う場合は「侃々諤々」と使うことを心掛けた方が良いということでしょう。


 しかし、「喧々囂々ケンケンゴウゴウ」も「侃々諤々カンカンガクガク」も似ていて混同しやすいので、どっちがどっちで、結局何が正しいのか実際に使うときに分からなくなりそうです……(笑)



<参考URL>

NHK解説員「けんけんがくがくの議論」とコメントし謝罪、訂正

https://news.yahoo.co.jp/articles/364cba1fca002534240dd3a7ea2fac0687db54c7

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