Column11 「とほほ」は、昭和の言葉?

 以前、『NIHONGO』のコメント(しかも一年近く前も前……。すみません)に、かしこまりこさんから「とほほ(トホホ)昭和の言葉ですよね?」と聞かれたことがありました。

 今回、それについて調べてみたところ、語源もいつ流行したのかもさっぱり分からないという、つかみどころのない言葉ということが分かりました。


 持っている国語辞典を全て引いてみたのですが、「とほほ」は感動詞として扱われていて、「ひどく困ったり、情けない気持ちになったりしたときに発する語(『明鏡国語辞典 第三版』)」という意味が載っていましたが、それが頻繁に使われた時期などは記載されていなかったのです。


 せめて、いつ登場した言葉なのかを知りたいと思い、『精選版 日本国語大辞典』も引いてみたのですが、あるのは見出しと語釈だけ。そのため、この言葉がいつどのように出てきて、流行したのかというのが分からないのです。ちなみに、流行語を調べる方法として使っている『死語大辞典』(死語研修会/株式会社彩図社/H20.12.24)を開いてみても「とほほ」はありませんでした。


 これは私の想像なのですが、「とほほ」という感動詞は明治時代や江戸時代、もしくはそれより以前からあった言葉だったけれども、一時期使われなくなり、昭和になって使われ出したというのもあるかもしれません。

 もしくは、昭和の時代に生まれた言葉ですが、語源や生まれた経緯が掴めないというのも理由に挙げられそうです。感動詞であるがゆえに多くの人たちが日常会話の中で使っていたとは思いますが、話し言葉としては伝わってきても、書き言葉では伝わっていかなかったのかもしれません。

 もし文字として残っていたら、『精選版 日本国語大辞典』に掲載されているはずですから。


 ネットで「とほほ」を検索してみると、40代くらいの女性たちの多くが「古い」とか「おじさん語」みたいに書いていましたが、あっても二つくらいしか記事として載っていませんでした。その一方で、ママさん日記(ブログ)に「とほほ」がタイトルに付いているものもあって、世間の認知はバラバラです。


 思うに「とほほ」という言葉をよく聞いていた世代にとっては、その時代の言葉として定着していることから「古い」と感じるのではないでしょうか。


 ちなみに10種類の国語辞典を検索したのですが、内8冊がこの意味について掲載していました。きっと、「とほほ」以外にこの気持ちを表わす感動詞がなかったことから、今でも残っているのかもしれません。


 

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