Column4 「后」と「妃」の違い

「后」と「妃」は、どちらも身分の高い人の「妻」を指します。


「后」は元々、「天子」「帝王」など王を表わす漢字でした。この漢字の成り立ちの一説に、「口と人から成り、人に命令を発する者の意から『きみ』の意を表す」(『新字源』参照)とあり、王のことを指していたことが分かります。

 その後に「皇后」という言葉が生まれ、王・皇帝・天皇の正妻ことを言うようになりました。


 一方で「妃」は、「妻」を一般的に表したことばですが、現在では王族や皇族の妻のことを指すときに使います。

「后」との違いを一言で表すと「『妃』の中の特別な一人が『后』」(『漢字使い分けときあかし辞典』より)といえます。


 しかし、そうは言っても何となく分かりにくいですよね。そのため、具体例を挙げてもう少し説明してみようと思います。


 とある王国の王様に、二人の妻がいます。

 その場合、正妻は「后」もう一人の妻は「妃」と表記します。


 また王様には弟がいました。

 弟の妻は「妃」と表記します。


 王様には子どもがいて、どちらも息子でした。

 息子たちも二人とも結婚していたので、彼らの妻は「妃」と表記します。


 つまり、王様の正妻以外の王族関係の妻になった者は全員「妃」と表記されるのです。

 しかし、例外があります。

 先王の妻です。彼女は元「后」でした。「妃」のなかでも特別だったわけです。

 すると彼女は「后」もしくは「皇太后」と表記します。日本では「上皇后さま」といいますよね。

「皇后(もしくは「后」)」は、「妃のなかの特別な后」なわけですが、先王の妻も特別です。ですから「后」と表記されるのですね。

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