Column11 「逆鱗に触れる」とは?

「逆鱗」が、何故「逆」に「鱗」と書くのか不思議に思い、ちょっと調べてみました。


 すると、「韓非子かんぴし説難ぜいなん」に出てくる例え話が語源になっていることが分かりました。

 次の内容がその例え話です。


「竜は、うまく手なずければ乗りこなすことだってできる。しかし、そののどの下には、逆さまに生えているうろこがある。もし、これに触ってしまうと、必ず龍に殺されてしまうのだ。同じように、君主にも逆鱗がある。もし、それに触れないように立ち回れるならば、君主の説得は成功したも同然だろう」(『小学館 故事成語を知る辞典』より)


 内容から分かるように、君主に使える場合の心掛けを説いたものですから、目上の人を怒らせてしまった場合に用いるようです。しかし、最近では目上の人だけではなく、対等な相手でもひどく怒らせてしまったときに使うようになってきているそうです。


 念のため私がよく使っている『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』でも調べたところ、全て「天子/目上の人/えらい人の怒り」に使うという記載がされていました。

 対等な相手に対しても使うようになってきてはいるものの、まだ辞書に掲載するまでには至っていないということなのかもしれません。



<補足>

*「韓非子」……中国、戦国時代の思想書。20巻55編。韓非およびその学派の著作を主として集めたもの。編者不明。君主は法と賞罰によって支配することを政治の根本であるとし、秦に始まる官僚国家創建の理論的支柱となる。(『大辞林 4.0』より)


*「説難」……『韓非子』の編名。自分の考えを人に説くことのむずかしさを論じたもの。(『角川新字源 改訂新版』より)

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