第6話 春⑥

・・・M・・・



「じゃーね」


土曜日で午前中で終わった部活。


カズはいつもよりウキウキしているように見えた。



今日はカズとおーちゃんとマサユキと3人が遊ぶ日。



俺も行きたいな。って言ったら


「ダメダメ、俺たち3人が楽しいんだよ!」


って笑顔で断られた。



なんだよ・・・


久しぶりに恋人に会うみたいにはしゃいじゃって・・・。



俺は一気に機嫌が悪くなる。


そんな俺を見て


「潤とは部活で毎日会ってんだからさ。ね。潤とは毎日だよ。」


って必殺上目づかいで言ってくるから


「毎日なんて会ってないじゃん!」っていえば


「ほぼ、毎日。ほぼね。」


笑顔で返すから


俺はなんも言えなくなる。



俺はこんなにカズが好きだけど


カズはきっと


俺に


そう言う気持ちは


無い・・・


んだと


思い知らされる・・・。



走って帰るカズに向って


「明日も練習あるんだからね~」って


大きな声で叫んだ。


カズが振り返って


「また、明日ね~」って手を振った。



また明日


俺はカズに会える。


だけど


明日になるまでの


カズが何をしているかは


俺は知らない。



これからカズが俺の知らない時間を過ごすことが


俺をイラつかせ悲しませ


居ても立っても居られない気持ちにさせる。


マサユキの家なら知ってるから無理に押しかけようか・・・。


いや


さすがにそんなこと・・・・。



いつの間にか俺はカズよりずっと背が高くなったんだよ。


俺たちは成長してるんだ。


昔の思い出に引きずられるなんて最低だ・・・・。


・・・・なんてね・・・。



軽やかに帰って行ったカズとは正反対で


俺は暗い気持ちで家路についた。

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