第2話 春②

・・・M・・・



新しいクラスの発表はドキドキする。


みんなそうだろう。



先生は誰だろう。


友達と一緒だろうか。


嫌な奴と同じだったら嫌だな・・・・。



俺たちは野球部全員で練習の休憩中に


クラス発表をみにきた。




新しいクラスは


カズと一緒だった。


小学校から今までで、初めて一緒のクラスになれた。


俺は嬉しくて


カズに抱きついた。


「やめろよ」


カズがちょっと怒った顔をして


俺を振りほどくけど


その払い方がやさしくて


そういうところにも惚れるんだ。




俺は、女の子にモテた。


小さい頃はそれを何とも思わなかったけど


少し年齢が上がるにつれて


だんだんうっとうしくなってきた。


だから


俺は


小1の時ぶつかってキスをしてしまったことのある


カズを巻き込んだ。


「俺はカズが好きだから、女子には興味ない。」


って言い放った。



俺が同性が好きっていっても


まだ言い寄ってくる女子はいたけど


その人数は大幅に減った。


カズは俺の巻き添えで


いろいろ言われたらしいけど


俺に対して


表立って


文句を言ったり否定したり無視したりすることも無なくて


俺はますますカズがお気に入りになった。



何故俺は女子がうっとうしくなったのか。


何故カズを巻き込んでしまったのか。


その時はただ成り行きだった・・・って思ってたけど


そうじゃなかったと


今ならはっきりわかる



カズだったから



俺は


本当に


カズを好きになっていたからだと。



野球クラブで一緒になって


カズのいいところを沢山みてきたから。


いいやつなんだ。


そして


どこか儚げで守ってやりたい気分にさせるくせに


いざとなるとなんだかとても頼りになって


不思議な魅力にあふれている・・・。




小学生の頃の


ぶつかって唇が触れたってだけの


そんなキスじゃなくて


いつか


本当にお互いがキスしたいという気持ちでキスがしたい・・・。


俺は


いつだってそんな妄想にかられる。


カズの薄い唇の柔らかさを空想する。



「おーちゃんとマサユキとも一緒のクラスだ。」


カズが嬉しそうに言った。


カズが昔から仲良しだったふたり。


俺は胸がギュっとなった。


こいつらも一緒のクラスなのか・・・。


特にマサユキは小学校まではずっと野球クラブで一緒だったから


その仲の良さはよく知ってる。


きっとカズは俺なんかより二人の方が・・・・。



さっきからおーちゃんがカズのことをじっと見てる。



「カズ、練習に戻ろう。」


俺はカズの肩を抱く。


「うん、行こう。」


カズはそう言うとおーちゃんの方を見て


「じゃあ、またね、同じクラスで嬉しいよ。」って手を振った。



俺はずっとカズの肩にかけた腕をほどかず


速足で玄関から退散する。


おーちゃんの視線が背中に刺さった。



「カズ、俺とも同じクラスで嬉しいだろ?」


って聞くと


「潤とは部活も一緒、クラスも一緒じゃ四六時中一緒ってことになっちゃうじゃん!」って文句がましいことを言うけど


その顔はにっこり笑っていて


俺はさらに腕に力を込めてカズを引き寄せる。


「もう、離せよ。」


カズが俺の腕を外そうと身体を少しよじった。


カズ・・・遅いよ。


おーちゃんに見せつけたよ。


俺たちが仲良く肩組んで歩くの。

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