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「さて、始めよっか」


みことさんとのVCを終えて僕は早速自己紹介動画の作成に取り掛かることにしよう。


天結あまむすび らいじゅ

 

 アバターの名前は決まっている方がイメージを固めやすいということで事前にみことさんと話し合って決めていた。らいじゅの名は僕が創作活動で使っている名前を。そして、雷樹から連想してその様子が天と地上を結んでいるように見えるので天結となった。

 

次にキャラ付け。見た目の年齢的には妹キャラとしても行けるが、着ている衣装が白衣の法衣というのも相成って少し硬めに行くのもありかな?と言う訳で視聴者のことは兄様、姉様で行くとしよう。


原稿については事前に女性アバターになるということを聞いているので問題は無い。

喋り方なんかは自分では分からないので相談したことのある友人に見て貰って判断しよう。ダンジョンの情報を集めるためにいろんなDtuberの動画を見ているらしいしもしかしたらいい意見を貰えるかもしれない。


最後に声なんだけど、一応風魔法を使った変声魔法も有るんだけど、みことさんにそのままでいい寧ろそのままの方が需要あるとまで言われてしまったのでこのままでいくことにする。


そしてボクは動画を撮るために、えーと…もーしょんとらっきんぐ?をする装置を身に着け、録画を開始した。


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ジリリリリリッ


「んっ…ハァハァ、ケホ。」


飛鳥が自己紹介動画を撮った翌日。その日から新学期が始まるので早く起きなければならないのだが気分かすぐれないようで熱が有るのかその頬はほんのり赤く息が荒くなっている。

この感覚を彼は幼い頃から知っているが、いまだに慣れることは無い。寧ろ慣れてはいけない部類の者だ。

この状況は魔力酔いと言って高密度の魔力が満ちている空間に入ったときや、自分の限界以上の魔力が体内に生成されて体外への放射スピードが追い付かない時に起こる症状である。前者は少し休憩することで問題が解消される。彼の場合は後者で少しの量なら熱が上がる程度だが量が増えたり高密度の魔力だと、身体に痛みが走りだし最悪命に係わる。


 ピョーン ピョーン ペシッ!


唸っている飛鳥のもとへ窓際のかごの中に居た青く透明でプルプルとした存在が体をはねて彼の寝ているベットへ近づくと、まずは未だ鳴っている目覚ましをその存在から伸びた紐の様な物で止めた。その後、飛鳥の額に紐を伸ばすとその紐を通じて何かを吸い取っているように見える。


「ん……スゥスゥ」


その行為をしていると飛鳥の赤みを帯びた頬は、徐々にその色を引いていき息の荒さも整った。

そしてその物体は一仕事をしたと言わんばかりに頷いたような動作ををすると、自身ももうひと眠りしようかというのかその身を飛鳥の脇に滑り込ませた時。


コンコンコン


「おはようございますマスター。ジェリー様。準備が整いましたので朝食がお済になってからごゆっくりなさっていただきたいのですが。」


ノック後に入ってきたショートボブの金髪碧眼のメイドの声に一人は目を覚まし、一匹?は身を起こすのだった。


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「それにしてもシェルファの声も流暢になったね。頑張った甲斐が有ったよ」


僕は目も前にいるメイド服を着た少女の変化に喜びに笑みを浮かべながら朝食をとっている。

彼女はシェルファ。僕の2体いる従魔のうちの一体であり主に身の回りの世話をするために僕の両親が用意した機械人形マシンドール。この子を傍に置くことで僕の一人暮らしが認められている。この子が居ないと今日みたいな日は早起きすることが出来ないから両親の采配には感謝でだね。因みに来ている者については、防具づくりの練習の一環でメイド服を僕が作っていたのを見た彼女がどのような用途で使われる服か聞いてきたので真面目に答えたんだ。そしたら彼女が与えられた使命と合致しいるということで気に入ってしまいそれからは好んで来ている。作った人間として喜んできてくれるなら創作者冥利に尽きるね。

個人での迷宮探索が解禁になってからはこの子のアップグレードのためにダンジョンに通っていんだ。これが出来るまでは片言だったからね。


「マスターのおかげで御座います。マスターの開発でしたら私は如何なることでも受け入れる所存でございます。」

「言い方がちょっとおかしな気がするけど……次は防御面の強化になるかな。ダンジョンに連れていくには少し心許ないからね。でも先に作らなきゃない物が出来たから後回しになっちった。ごめんね。」

「例の件に関しての装備でしたよね。マスターの体調改善のための事なら最優先事項ですので私は放置プレイでも構いません。」

「そっか。(やっぱりどこか調整ミスしたかな?)」


そんな感じでシェルファと会話していると僕の脇で青いプルプルとした球体が体を震えさせて主張しだした。僕は食べ終わった後の食器を感謝の言葉を伝えながらシェルファに渡し、魔力酔い後の痛みの走るる身体を動かし働き者に感謝するため、その球体を膝に持ち上げ撫でる。


「いつつっ!……ん、ジェリー。今日もありがとね。やっぱり君がいないと安心して睡眠もとれないもん。」


その言葉にジェリーと呼ばれた球体はエッヘンとでも言うかのように体を少し膨張させると、次の瞬間身体からその色と同じ透き通った青みがかった白い結晶を幾つか吐き出した。

彼がもう一体の従魔にして最初の子。そして命の恩人と言える存在でもある。種族はジュエルスライムで本来ならダンジョン等で魔力を溜めそれを結晶として吐き出す希少種である。彼はもともと普通のスライムで僕と従魔契約を行った瞬間にジュエルスライムに進化したらしいその過程でスライムの本来の能力ともいえる分裂機能を失ってしまった。と言っても彼は気にしていないらしいが…彼が僕の過剰に生成してしまう魔力を吸い取り結晶化してくれるおかげで僕が日常を過ごせていると言っても寡言ではない。


「3、4、5…今日はマナが濃いにしても量が多いね。また生成量増えた?」


彼の出した結晶の数は7つ。それを見て可能性を示すと、ジェリーは縦に揺れることで肯定の意を示した。マナとは大気中に含まれる自然界の魔力もことでそれを体に取り込み生き物は魔力を生成していると10年ほど前の研究によって発見されていてマナの濃度でも生成量が変わるらしい。

生成量とはその名の通り個人の魔力生成量の事である。こっちについては未だ解明されておらずマナと何かが合わさって個人の魔力が生成されているとまでは分かっているがその何かまでは解明されていない。

 僕はこの魔力の生成量が多いことともう一つのことが原因でさっきの様な魔力酔いが発生する。今日の魔力酔いはマナの濃度だけでなく魔力の生成量が増えてジェリーの魔力吸収速度より多くなってしまったため起きてしまったようだ。

起きている時は問題なかったんだけど、最近消費魔力も少なくなってて気付かなかったな。


「やっぱり生成量が増えるのはあのスキルのせいだよね……でもあのスキルのおかげで今が有るとも言えるしままならないなぁ。」


僕は困ったような笑みを浮かべその言葉を発するとそこへシェルファが戻ってきたの。体の痛みも治まってきたので学校へ向かうために準備を始めるのであった。

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