第一章 第三話

先輩が泊まっていくと言って聞かなかったためお風呂に入らせてパジャマを貸した。

「ありがとうユン」

「別にいいですけど…先輩思い切りの行動は出来るだけ慎んでくださいよ。私だってプライベートがあるんですから」

「ごめん…。・・・実はルームメイトと少し言い合っちゃて…気まずかったんだよね」

「へー、先輩喧嘩したんですか…。留年の件ですか?」

「うん。彼女私のこと好きだったみたいで、離れることに賛成してくれなかったから。思わず…」

「思わず?」

「好きな人がいるって言って強く言っちゃった。本当のことだからしょうがないけど…ユンの気持ちも考えずに失礼だったなぁ…と」

「それは別にいい…ん?それだと先輩間違ってますよ。それじゃまるで喧嘩したのとは関係ないじゃないですか」

「あ、」

「・・・先輩?」

先輩に疑いを掛けるとすぐに目を逸らして白状した。

「う、嘘…。ただ一緒にいたいだけ…」

先輩が顔を横に向けて恥ずかしそうに言う。

それがキュンとなって思わず私も恥ずかしくなる。

「そ、そう言うところですよ!私はまだ先輩に素直になれないのに…ずるいです」

「え、なに?」

「なんでもないです。さて、そろそろ遅いので寝ますか」

「ええー、普通夜更かしするのが修学旅行の定番だと思うけど?」

「残念ながら修学旅行じゃないです。さ、先輩のお布団ここに用意したんで寝てください。私は隣の部屋に行くので…」

「あ、待って…」

先輩に後ろを引っ張られて止まる。

「おやすみユン」

「・・・はい。先輩」

寝巻きもかわいいな…と思って私は今度こそ部屋を出て行った。


ベッドの中で適当に眠気が来るまでゴロゴロしていると、思ったより眠気がやってこず、結局暇を持て余して携帯を見ている。

「明日も生徒会かー。眠れない…。・・・先輩寝たかな?」

一人で暇を持て余してるとやっぱり最初に思い浮かぶのは先輩で気になって余計眠気が来ない。

「行ってみよう」

体を起こして、足音を立てないように部屋の中を進む。

扉を開けた先はリビングで少しだけ確認したら寝よう、そう決めて扉から先輩を除く。

と、先輩の姿が見当たらなかった。

準備した布団には身を包んでいなかった。

「どこだろう…」

寝相が悪いのか、それともトイレに行ったのだろうか、とにかくこのまま戻っても心配で眠れないので探すことにする。

部屋に入ろうした一歩目。

私はふにゃっと沈むような感触に足が包まれる。

「んん…」

「あ」

私の足の下には先輩の大きな胸があった。

呼吸で上下してることから寝ていることがわかる。

「す、すみません…。でも、どうしてこんなところで?」

いくら寝相が悪いからと言ってもここまで来るには少し遠い気がする。

それにドアの前なんて危ないだろうに…。

「まぁ、いいや。とりあえず戻ろう…。きゃっ!」

後ろから背中を引かれる。

力は斜め下から働いていて私はお尻から落ちて床に座る。

「いてて…先輩?」

「おはようユン。私が寝てる時ならおっぱいを揉んでいいと思ったの?」

「べっ、別にそんなこと思ってません!ていうか起きてたんですか!?」

「最初からね。ユンの寝顔拝んでやろうとドアの近くにいたらユンが先に開けちゃった。・・・まさかあんなに強く揉んでくるとは思わなかったけど…」

「何恥ずかしがってるんですか!私だってわざとじゃ…それに揉んだんじゃなくて、踏んでしまったんです」

「あれは痛かった」

「ごめんなさい」

「うそうそ。むしろ興奮したから。後で続きしよ?」

「しません。・・・先輩と話してると疲れます。私そろそろ寝に行きますね」

「ちょっと待って」

今度は腕を引かれる。

「おやすみのキスしてあげる」

「へっ?だ、大丈夫です…。ん」

最後まで抵抗できなくて正直に先輩からのキスを受け取ってしまう。

少し乾いてるけど、それはそれで気持ちよかった。

「へへ。おやすみユン。明日の朝ごはん楽しみしててね」

「ひゃっ!」

先輩の指が私の胸の先端に触れる。

「お返し」

「せ、先輩の変態!」

「わっ」

ドアを思いっきり閉めて私はその場に座り込んだ。

「先輩のえっち…最低…私だって…自分の気持ちがわかってたら…、我慢してるの知らないくせに…」

顔を俯いて小山座りをして私の夜はいつの間にか終わっていた。

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