第三十話 サキュバスの変身とストリ○プ宣言
しかしサキュバスは動じず、目を閉じ、先ほどのバトルを脳内再生していた。
そして歓声が収まると、
『ふぅ〜ん。ボクのスティック捌きに追いつけないから体を揺らして、その動きをスティックにプラスさせてキャラの動きを速くしていたわけね。同じように体を上下させて、ボタンを押すスピードも速くしていたと……』
“おおお”と観客が
『さらにボクのリズムに合わせるんじゃなくて、それを上回るリズムでボクを攻撃する。さっき君がVR-DANCEでレイちゃん相手にやってみせたことだよね?』
『さすがですね。一回のバトルだけでそこまで丸裸にされるなんて……』
しかし来海は、サキュバスの動きに疑問を感じる。
(……おかしいな? 確かに強いが、昔、別アカでネットで戦った時は鬼のように強かったぞ? まるで、悪魔のように俺の心を読んでいたかのように……)
『実はそれ、ボクも一回やってみたんだぁ。君みたいに激しく動けなかったけどね』
(なるほど、考えることは同じって訳か……)
『だけどね、オメガ・オーク君は体の中心であるお腹に脂肪が集中していたからそれが出来たんだろうけど、ボクの場合ほら、おっぱいがあるからさ、揺らすとブラしててもバランスとるのが難しいんだよね。それにぃ……』
両手で胸を揺らしながら、視線はエルフとレイの胸元に向ける。
『ボクのヤツ、結構大きいから、余計にね。しかも綺麗な形をしていて、ユニコーンもちょっとうらやましいって言うぐらいだよ』
女として既に負けた両名は、歯ぎしりすることしか出来なかった。
そしてサキュバスは妖しく微笑む。
『あと《分身の術》の隠しコマンドはよくわからないけど、ま、いいか、一敗ぐらい。あと八ラウンドあるから一勝ぐらい出来るっしょ』
『あれ、言ってませんでしたっけ? これって俺からの接待プレイだって? 八勝まで勝たせてあげたんだから、もう貴女は一勝も出来ませんよ。俺が勝つまで残り八勝、一気にイかせてもらいますから!』
『……ふぅ〜ん。そんな台詞はもう聞き飽きたよ。でも君が勝ったら、エ○チでもちゃんとボクをイかせてよね』
そして……。
『MATCH3 ROUND4』
『READY FIGHT!!』
……十ラウンド目も、来海が勝利した!
『ア〜ハッハッハッハッハ! 負けちゃったぁ! 負けちゃったぁ!!』
あらゆるプロスポーツ選手がもっとも言いたくない、言われたくない言葉、『負ける』。
それをサキュバスは観客の前で、高笑いながら二回も言い放った!
『先ほど言ったように貴女に勝利の道はありません。このまま負け続けて、活動休止しますか? それとも、貴女はセコンドがいませんので、自分からギブアップしますか? もしギブアップなら、活動休止は免除してあげますよ』
『う〜ん……両方とも嫌だなぁ。このまま続けて君が勝つ。そしてボクは舞台の上で君とエ○チする。これで手をうたない?』
『……うちませんよ。なに考えているんですか?』
『ちぇっ! ボクとエ○チできないの、絶対後悔するよ~。それじゃあ~こっちも悪魔らしく、《変身》するしかないか〜。むしろこっちの方が君は後悔するかもねぇ〜?』
(《変身》……だと? 奴にそんな必殺技があったのか!?)
『あれ〜? そんなの初めて聞いたって顔をしているね? そりゃフェスでは変身するほどの強敵は現れなかったしぃ~、元々は対アイス・アイリスさん用だからさ。知っているのはユニコーンしかいないしね』
サキュバスは座ったまま、チェアを観客の方へ向ける。
『おっと、バトル中に立ち上がったら棄権になっちゃうね。オーク君、ちょっと変身したいので立ってもいいかな?』
『……どうぞ』
対戦相手の同意があれば、チェアから立ち上がってもかまわないのである。
『ありがとぉ~。たまにはファンサービスをしないとね~。それじゃあ、失礼するよぉ~』
サキュバスはセーラー服の横のファスナーを開け、一気に脱いだ!
セーラー服の下からは、汗で張り付いた、デフォルメサキュバスの白Tシャツが現れ、黒ブラが透けていた。
(おおお!)
モッヒー&ツッキー以下、男性観客は心の中で叫びながら、サキュバスの胸元に釘付けになる。
『ちょっと本気を出すと、す~ぐホックが調子悪くなるんだよねぇ~。ユニコーンみたいにボクにも下着メーカーさんがスポンサーになってくれないかなぁ~?』
そういいながら背中からシャツに手を入れ、ホックを外しブラを取り出すと、乳房にシャツが張り付き、ほんのわずか、乳首までが透けて見えていた。
『はぁ~い! プレゼントだよぉ~!』
観客席に向かってブラを放り投げた!
「「「「えっ?」」」」
観客の頭上をクロアゲハのようにブラが舞い、モッヒーのモヒカンの上に落ちる。
「ん? ぬあああぁぁぁ!」
両手でブラを持ったモッヒーが叫ぶ。
「お、おいモッヒー! 俺にも触らせろ! 匂い嗅がされろ! 頬ずりさせろぉ~!」
「だ、誰がぁ! こ、これは俺の家宝にするんだぁ!」
男性観客達がモッヒーへ羨望の眼差しを向ける。
『アハハハハ! 喜んでもらえて何よりだよ~。そんで次はぁ~……』
そして、スカートの左右に手をやると、ストッキングに指を入れ、黒いパンティーごと膝まで脱ぐ。
(うおおおお!)
再び心の中で叫ぶ男性観客。
『よっと!』
再びチェアに座ると、官能映画のように膝を曲げ、片方ずつ脱いでいった。
『そういえば昔、脱げば脱ぐほど強くなるゲームってあったよねぇ~。これまんまボクじゃん! モデル料寄越せ! って思ったよぉ~。ボクが生まれる前なのにさぁ~。アハハハハ!』
あっけにとられる観客。
全部脱ぐと、サキュバスは妖しく微笑む。
『ちなみにぃ~オーク君、これ欲しい?』
まるで餌をあげるように、来海に向かってストッキングとパンティーをちらつかせた。
『……いりませんよ』
『そうだよねぇ~。オーク君はボクの下着より、下着の中身が欲しいんだよねぇ~』
“ポイッ”と、ストッキングと下着を後ろに捨てた。
(……くれないのかぁ~)
男性観客達が落胆する。
『どっちもいりませんよ。それが貴女の言う《変身》ですか?』
『そだよ~。元々引きこもっていたときは全裸プレイがデフォだったからねぇ~。肌を露出すればするほどぉ~、たとえネット対戦だろうとぉ~相手の考えが文字通り肌で感じ取れるんだぁ~。本当は全裸でやりたかったけどぉ~、それはオーク君とベッドの上でね❤』
(……そうか、サキュバスのネット上での鬼強さと、プロになってからの舞台での技や動きのキレの違いの原因はこれだったのか?)
『……脱いだぐらいで強くなれるとお思いですか?』
『あれぇ~? もしかしてぇ〜動揺しちゃったりしてるぅ~?』
(!!)
『そういうのもわかっちゃうんだよねぇ~』
『……いきなり脱げば、誰だって動揺しますよ』
『アハハハハ! かわいいぃ~! でもこっからはボクの本気モードだからね~。あ、観客のみなさぁ~ん! もし見えちゃっても気にしないでねぇ~! それじゃあ……』
次の瞬間! サキュバスに向かって黒いなにかがジャンプしてきた!!
「「「「えっ?」」」」
“スッパアァァァ~ン”
空気を切り裂くような音が舞台上に轟く。
「このぉアンポンタァ~ン! まったくもう! なぁに考えているのよぉ~!!」
アーバン・ユニコーンが、助走+ジャンプでサキュバスの頭を思いっきりハリセンで引っぱたいた!
『いったぁ~! あ、由美子?』
「由美子じゃないわよ! (パァン!) なに!? 舞台の上であの子とま、ま、まま○板ショぉぉ~!? (パァン!) おまけに舞台の上ですすす、ストリ○プなんかしてぇ~! (パァン!) あれほど人前では脱ぐなって言ったじゃないのぉ~! (パァン!) 見えちゃったらどうすんのよぉ~!!」
ユニコーンが怒りながら、“パンパン”とハリセンでサキュバスを叩く。
“うおぉぉ~!”
“やったぁ~!”
オメガ世代がいるレフト側のドアの後ろでは、ツチノコパニックとチンアナゴぬきのランカーたちが、声なき叫びを上げていた……。
(見えても無問題ですよ! むしろ見せてください!)
男性観客達が心の中で嘆願する。
『もうやめてよぉ~! これ以上馬鹿になったらどうするんだよぉ~』
「これ以上お馬鹿にはならないわよ! さぁ帰るわよ!」
『ちぇっ! もうちょっと遊びたかったのになぁ~!』
サキュバスのセーラー服とストッキングと下着を拾ったユニコーンは、レイへ顔を向けると
「ゴメンね~レイちゃん、あとよろしくね!」
ウィンクしながらすべてを押しつけた。
「え? あ? えっと~?」
事態がまだ飲み込めずレイは狼狽する。
(逃げるのなら今か!)
来海はチェアから離れると、二人のリュックと心雪の右手首を掴む。
「ずらかるぞ心雪! トンズラ……いや、オークズラだ!!」
「え? あ? うん!」
二人は舞台の階段を降りると、一目散に逃げていった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます