第5話 動き出す日常
朝起きて、用意をして、俺は一人で学校に行った。とにかくあいつとの顔を合わせたくはなかった。そしていつも通り授業を受けた。休み時間、雪菜が教室に来た。
「ねぇ。朝来なかったけどどうしたの?」
「すまない。朝呼び出しをくらっているのを忘れていて、焦っていて連絡し忘れた。」
俺は適当に返した。どうしてこんなに平然としていられるのだろう。こいつに人の心なんてないんじゃないのか?
「そっか。次からは連絡してね?」
「あぁ。わかった。」
次があったら…な。そうして一日の授業を終え、雨宮先輩のもとを訪ねた。
「あの…雨宮先輩いますか?」
俺は比較的穏やかで優しそうな女子生徒に聞いた。なぜなら聞き耳を立てていた男子は目が血走っていた。こえーよ。寝不足かよ。
「蛍さんなら、今日も男子に呼び出されていたよ。もしかして君も?」
流石は学校の女神。『今日も』ということは昨日もあったのか?ここまでくると伝説だな。
「あ、いえ、でしたら、雨宮先輩に伝言をお願いできますか?」
「それくらいならいいよ。」
良かった。この人に頼んだのは正解だったな。でもやっぱり周りの男子生徒の視線が怖い。しかし、こちらが目を合わせようとすると目をそらす。テ〇サかお前らは。
「では、芦屋 優斗が相談に来た。とお伝えください。」
「わかったわ。じゃあね。」
さて、帰るか。というか本当に大丈夫だよな?ちゃんと伝えてくれるよな?不安だ…。帰ってしばらくしたら、こちらから連絡してみよう。
と、思ったら連絡が来た。早いなおい。
Hotaru:ごめんね!どうしたの?
あの人凄い優秀だな。今度からあの人に頼もう。
Yuto:突然すみません。この後会って話せますでしょうか。
Hotaru:ええ。学校の近くのカフェでいい?
学校近くのカフェなら、俺の方が近い。先に行って、先輩の分も買っておこう。
Yuto:構いませんよ。先に待ってます。
それから、カフェに着いて、二人分のコーヒーを頼んだ。それからすぐ、雨宮先輩が来た。
「あの時ぶりだね。優斗君!あの時はどうもありがとう。」
周りの視線が先輩に集まる。それくらいの美貌だった。やばい…。惚れそう。
「どうもです。その節はどうも。」
「で? 相談って何? 優斗君の頼みならなんでも引き受けるよ!」
それはありがたい。……ん?今この人なんでもって? いや、気のせいだろう。
「はい。相談に乗ってくれますか?」
「もちろん!どんな相談でも請け負うよ!」
凄く頼りになる。この人に相談したら、迷宮入りした事件でも一瞬で解決しそうな言葉だ。
「はい…。実は最近、彼女に浮気されまして……。」
「は?」
え?
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