全身の約90%をサイボーグ化させた桃太郎とミュータントドッグ&キジドローン&ゲル化モンキーVS工場長マツオカ(64) 定年前の聖戦(ラグナロク) #3
むかしむかし、それほど昔でもないお話
どこかアナーキーなおばあさんに連れられて
桃太郎がたどり着いたのは、食中毒を起こしそうな名前の町『ナマヤケチキンシティ』
おばあさんから「ここで待ってな」と言い残され、桃太郎はモニター一体型の巨大なバスの案内板の前に待たされておりました。
モニターから、どこかの会社のCMが流れました。
奥行きの無い人形劇のようなCMでした。
「くっそー、
『そこにいるのは分かってるんだよ、クソ小僧!!おとなしく出てきな!それと、アタシのことをクソ婆って言ったの聞こえたからね!!八つ裂きにしてチキンブロスにしてやる!!』
「畜生!聞かれてた!どうすりゃいいんだ!!」
「おっとそこの小僧君、お困りかな?」
小僧の隠れている小部屋の壁がくるりと反転し、謎の男が現れました。
胡散臭いシルクハットを被った背の高い紳士の人形でした。
「だ、誰だアンタ⁉」
「まぁまぁ警戒しないで、私は君のような悩めるラム肉を導き救う者だよ。または、変質者さ。」
「子羊じゃないのか…それに仏教に対して聖書語ってくるのか…」
「さてラムチョップ君、助けは欲しくないかい?」
「助けてくれるのか?!ありがたい、クソ婆にチキンブロスにされそうなんだ!」
「ラムがチキンだって?目を瞑ったってどっちか分かるね、どうしてかって?チキンはもれなく生焼けだろうからね!はっはっは!!」
「冗談言ってる場合かよ!助けてくれるんだろう?!」
「もちろんだともチキンレッグ小僧ボーイ!今の君に紹介したい商品は…これだ!」
3ジョーカーver.1.0!!
画面のど真ん中、デカデカと派手な演出でその文字が現れました。
「す、3ジョーカー?」
「ver.1.0だ!まだ、開発途中だけど性能は折り紙つきさ!」
「それを使えばこの危機を乗り越えられるのか⁉」
「オフコース!何でも来いさ!!」
小僧は期待に胸を膨らませ、男の手から3ジョーカーver.1.0を奪い取りました。
「どう使えばいいんだ!!」
「はっはっは、せっかちボーイめ!今、説明を…」
「早く言え!!ぶち殺すぞ!!」
「ホントにお寺の小僧かってくらい口が悪いな君は!はっはっは!!」
そう言うと紳士は胸ポケットからペンを取り出し小僧に渡しました。
「この電子ペンを使うんだ、ジンギスカン君」
「電子ペン?もしかしてこれで3ジョーカーに何かを書けばいいのか?」
「鋭いじゃないかチキンボーン!まさに鶏の骨のようだな!その3ジョーカーに君の願い事を書いてごらん」
「願い事を書けばいいんだな!!」
小僧の人形は手に持った3ジョーカーを地べたに置き、電子ペンで文字を書くジェスチャーをしました。
そして、願い事を書いた3ジョーカーを高々と掲げました。
「僕の願い事はこれさ!『山姥のクソ婆をぶっ殺してくれ!!』」
「いい願い事だね、クリスピー君!さて、それでどうなると思う~?」
小僧の顔を覗き込む紳士、にたりと笑って大きな声で言いました。
「正解は―――――〝何も起きない〟でしたー!!」
「なーんだ、やっぱりそうか!」
二人の男の人形が高らかに笑っていると、壁を突き破って山姥が入ってきました。
山姥は人形に飛び掛かると一心不乱にバラバラにし始めました。
〝ぎゃああああああ!!〟
二人の人形は悲鳴を上げつつ山姥によって徐々にバラバラにされていきます。
内臓や臓物、骨の入った腕や足を模した小さなクッションが宙を舞います。
『お子様向けからアダルトまで、様々なジョークグッズを扱っております。お求めは、お近くのクール・フール・ブレインまで。※食品の取り扱いは予定しておりません。』
CMを最後まで見た桃太郎は、近くの自販機で売っていた観光客向けのナマヤケチキンシティ名物『ナマヤケチキンのコンソメスープ』を一口飲んで言いました。
「なんだ今のCM…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます