第16話 台本
8月X日
特に仕事もなく演技レッスンと道場にかよう日々を過ごすこと数日。うっすら筋肉がついてきたことを実感しだんだん筋肉痛が心地よく感じるようになり、受け身も様になってきた。
今日はグリードハイスクールの第二話の台本を受け取った。前回は主人公の健一が校舎を巡りながら各キャラクターを紹介するようなストーリーだったのだが、今回はどうなんだろう?
〜〜〜
グリードハイスクール
第二話『朝倉ゆうきは振り向かせたい』
国語の授業中教科書に目を落とす朝倉ゆうき。題材とされた小説に男女が仲睦まじくする表現や『切なさ』などの単語を見るたびにチラチラと健一を目で追う朝倉。
昼休み、級友と賑やかに昼食をとる健一。朝倉はその様子を眺めポツリと呟く。
「青葉君...」
体育の授業でも、放課後も。健一をまだ追っては小さく息をつく朝倉。
いつもみんなの輪の中心にいる健一。しかし朝倉はその輪に入りたいわけではないのだ。こちらを振り向いて欲しい。私だけに話しかけて欲しい。でも、たまに健一が振り向いて目があうと決まって俯いてしまう。
あまり交流はないが、地味だがきっちりした身だしなみの三上と派手ではないが制服を着崩していたりとあまり品行方正なほうではない影山の組み合わせが気になり2人の方をそっと見つめる朝倉。
普段と違う何かを感じて影山を見ていると、服装が乱れていないことに気がつく。やがて車内が混み合ってくると、影山は手すり側にいる三上を守るようにそっと移動し乗客との壁になっている。と、そこで三上と目が合う。
三上は朝倉の方を
電車が学校の最寄り駅に停車し、乗客が降りて行くと、振り返った影山は夏服の半袖Yシャツの前を開いて下に来ているシャツの前面が露出している、見慣れた着崩した格好になっていた。
どこか不貞腐れたような影山と三上が電車を降りるのを見て、朝倉も慌てて電車を降りるのだった。
〜〜〜
ふむ。僕の演じる影山が出演するシーンは大体ここまでだな。このあと早川さんの演じる三上がヒロインの朝倉に影山と付き合っているのか聞くシーンと、それで奮起して主人公の健一にラブレターを書き、放課後夕暮れの教室で告白して2人は付き合うことに。幸せそうな下校シーンを経て満足そうな朝倉がにこやかな表情で眠りについて終わりか。
なかなかいい回じゃないか。てことは次回以降は朝倉は主人公の彼女として振る舞うことになるのか。もともと恋愛モノではない作品だけど、2話目の段階でサックリ1話でカップルになるまで持っていくところはいいな。
この電車のシーンは早川さんと相談するところなんだろうけど、セリフないっぽいし今回は余裕がありそうだな。グループごとの出番争いでいい感じだったからもっと出番が増えるかと思ったけど今回は早川さんがヒロインが主人公に告白する決意をするきっかけになるシーンに出るからな。僕のほうも今後に期待してもっと頑張らないと。
色っぽい表情ってどんなだろ?先生に聞いてみようかな?
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