第12話 放課後の美術室

 主人公の青葉健一が美術室にたどり着くとスライドドアがほんの少し開いていることに気づく。


「ここが美術室か、、ん?開いてるな、、」

「んっ、いやぁ、、」


 さらにかすかに悩ましい声が聞こえてきた気がした健一はドアの隙間から中を覗き込む。


 すると机の上に座る男子生徒と女子生徒が目に入る。

「あれは、、影山と三上?いったいなにを」


 影山は右膝を立てあぐらを崩したような姿勢でそれぞれの肘を膝に乗せ、その間に座る三上を覆うような格好だ。


 左手で三上の脇腹を撫で、さすり、三上の左手を自分の左ふくらはぎの上にのせ、なでさせる。


 さらに三上の脇の下を通すように左手を進め、太ももをなでる。そして親指と人差し指以外の3本の指で優しく揉むように健康的な三上の太ももから太ももの付け根、おなか、と三上の体をジワジワと這い上がっていきついに胸元までたどりつく、その寸前。


 耐えきれなくなったオレは扉を開け影山の前へ躍り出る。

「影山!三上になにをやっているんだ!」


 美山の肩にうずめるようにしていた顔を気だるそうにあげる影山。そして妙に艶っぽい、それこそことの最中のような顔でオレを見る。


「はぁ、青葉?見てわからないのか?お楽しみだよ、お・た・の・し・みぃ。見せもんじゃねぇから。わかったらとっとと行きな。」


 ねっとりした声で答える影山。その侮蔑を帯びた視線に動じながらも、オレはどう見ても嫌がっている三上を捨ておけず声をかける。


「三上、無理矢理されているんじゃないか?大丈夫なのか?」


 一瞬こちらを見て小さく「見ないで、見ないで、、」とつぶやき顔を伏せる三上。


 それを見て影山はニヤリと邪悪な目を見せる、、そして三上の耳元に口をよせ囁き始め、ときおり耳を舐める。囁き終えると静かに、だがよりいっそうねっとりと吐息混じりに三上の耳をせめる。


「そうだよなぁ(れろ)。こんなとこ(ちゅ)クラスメイトに見られたく(れろ)ないよなぁ?(にゅる)」

「〜〜〜ッ!!」


 三上は顔を赤らめ、足をふるわせて、影山が耳を舐めるたびに小さく小さく切なそうな息をもらす。その姿はとても艶やかで、大人しそうな彼女の容姿もあってか、その表情をもっと見たいという嗜虐心がふつふつと湧いてくる。


 そして切なそうな声で、瞳で、健一の方を向いて言う

「青葉くん、見ないで、、」

「ッ!」

「だってよ、青葉ぁ?」


 影山は三上の耳を舐めるのをやめ熱のこもった瞳を健一にむける。その凶悪な顔を勝ち誇ったような色に染めこちらをにっこりと見ながら言う影山と、どうしてやめちゃうの?といいたげに縋るような表情で影山見つめる三上。


 健一は見てはいけない他人の睦ごとを好奇心でのぞいてしまったような、そんないい知れぬ恥じらいを感じてしまう。


「そ、そっか。悪ぃ、、」


 そう言い残し足早に美術室を去るのだった。

 そして健一の立ち去った美術室からは声を抑えるのをやめたかのような、さっきよりも大きな嬌声が廊下までもれ聞こえてくるのであった。


 〜〜〜


 第一話の放送を見た視聴者のほとんどが「なんだこれ、えっろ」と感じ、その後の展開が頭に入ってこなかったという。そして緋月のことをなんてエロいやつなんた!けしからんと思い、エンディングのメイキング映像でバッチリ撮影されていた早川と美術室で打ち合わせするシーンで完全に彼女に翻弄されタジタジになっている様子に溜飲を下げるのだった。


 そして一部の視聴者は名前で検索をかけ、ヴィランズのホームページへと辿り着く。


 これを機に朔夜にはあんなのされてみたいというちょっとマゾっけのある女性とこいつについて行けばエロいものが見れる!と勘違いした思春期青少年のファンがちょっとだけつき、早川にはちょっぴり特殊な趣味をお持ちの紳士淑女のファンがつくのだった。

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