第11話 段取り
「美術室の、この机で緋月くんは右足を立てて左足はダラっとした感じてぶらぶらさせて、右肘を右膝の上に、、そうそう。
で、早川さんは緋月くんの足の間に座って、おどおどした感じてすっぽりおさまる感じ。いいね!で、本番はフリでもいいから緋月くんは左手で早川さんを弄ぶ演技をお願いします。
で、早川さんは怯えて嫌がりつつ、少し反応があるとうれしいな。艶っぽい演技をお願いしますね。
アドリブも大歓迎です。ただ、映像に残るのでさじ加減はよく話し合って決めてくださいね。」
「「はい」」
艶っぽい演技とか、完全にセクシー路線求められてるな。
目の前に早川さんの後頭部がある、いい匂いがしてやばい。そんなことを思いながら後頭部を眺めていると振り向いた早川さんと目があった。
「緊張してるの?」
「緊張してます」
すると早川さんは右手でおもむろに僕のふくらはぎを撫で始めた。思わぬ刺激に思わず天を仰ぐ僕。
「そんな顔に見えないけどなー?もしかして全然経験ないの?」
さらに左手を僕の太ももに乗せさすってくる。
これは緊張をほぐそうとしてくれているのか、それともセクハラされているのか、妙にこそばゆく判断に困る。
「経験はない、です。ちょっとそれくすぐったい」
「ええー、こんなので?そっかー。でも君がぐいぐいきてくれないと私も困るしちょっと練習しよっか?左手を私の脇腹にあてて?」
いいのか?とはいえ本番でお互いに困るのはそのとうりなので左手を早川さんの脇腹にそっとそえる。
「では失礼して、、!」
「もっとしっかり手を当てる!それでこう、上下にさする!で、こう。こういう手の動きできる?」
早川さんが僕の手をつかんで自分の脇腹にあてる。やわらかいな、女の人ってこんなにやわらかいのか。
そして左手を僕の太ももに当てすくいあげるように僕の太ももをなぞる。
「気持ちいい?声我慢しちゃってかわいい。ほら、私にもやってみて?」
そして顔を僕の耳元によせて言う。
「私のことも気持ちよくして?」
エロいんだが?早川さんエロいんだが?
ただ、欲望に上書きされて緊張は解けたかもしれない。早川さんの脇腹をなで、すくうようになぞる。中指、薬指、小指を動かすように、、
「そうそう、うまいうまい。あ、あとー、、ちょっと耳かして?」
なんだ?少し屈むようにして東條に耳を寄せると、東條は僕の耳に手でひさしをつくりさきほどよりもずっと耳元に口をよせ
「私、NGなしだから。胸とか触ってもいいよ」
「!!」
至近距離で甘い声で囁かれ、脳にガツンと刺激がくる。
「私、セクシー路線で売っていく予定だから。色っぽい演技になるように君もがんばってね?あと、あたってるよ?けっこう大きいんだね?じゃあまた本番でね?」
「〜〜〜ッ!!」
顔を赤くする僕を置いて早川さんは去っていった。グラビアアイドルとはいえ、今の地味な見た目とのギャップがすごい。
あんなに清楚そうなのに。
だが腹は決まった。あそこまで言われたのだ。できる限りのことはやってみよう。
女性経験とかゼロだけど、小学生の頃ダンスの授業で女子とハイタッチするだけでドキドキしてたけど。これは演技。これは演技。影山はこんなことでドキドキしたりしない。
僕は心を落ち着けて早川さんに色っぽい演技をさせるための演技を考えるのだった。
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