第5話 警告

 しゅうと二人になって自転車に乗ることなく、何となくそのまま歩く。

「アイツ、ほんと、大丈夫なんだろか…。」

「本人が大丈夫って言ってただろ?気にする事無い。」

「でも…。」

「でも…じゃない。葵、冬月に今日会った時、何されたか、一年前アイツに何言われたか忘れたのか?」

「え?」

 真剣な目で愁はオレに訴えてきた。

「ボサっとしてたら、喰われるぞ。」

「く、喰わ…」

 愁の爆弾発言に言葉を失う。

「じゃあな。」

 そう言って、自転車に跨り、先に帰ってしまった。

 喰われるって…、女じゃあるまいし。フッと失笑する。あれ…、でも、待てよ…。そう言えば、今日初めてアイツに会った時、抱きつかれて頬ずりされたっけ…。いや、でもあの時ちゃんとオレ、抵抗出来てたし。それから一年前…、何があったっけ?確かにオレ、アイツ見た事ある。それは、今日紹介された時思った。愁は、アイツの何を知ってるんだ?

 そんな事を考えながら、愁の背中を見送った。

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