第2章 続・私の夢、新たな出会いそして別れ
第5話 英語
高校を卒業した私は、学校などの規則やしがらみに縛られない自由を満喫していた。
どんなに夜更かしをしようとどんな時間に起きようと関係ない…もちろん宿題や課題も無い。
「何て最高なんだ!」と最初は感じていたが次第に「何しているんだろうか」と考えることがあった。
自分の生きている理由や意味を見失いそうになっていた。
その度に「俺は警察官になる、だから大丈夫だ」と自分を鼓舞し、警察官という夢にすがり付いていた。
GW(ゴールデンウィーク)
帰省してきた友人たちと遊ぶことになった。
小・中学校の友人は、頭が良い人が多く旧帝大や早慶等の有名大学に進学している人が大勢いた。
彼らとの会話やSNSを通じて「○○は××大学に行ってる」「今度、留学するらしいわ」とかいう情報を耳にするもんだから、「みんなすげぇな、それに対して俺は何をやってんだ」と凄い虚無感と焦燥感に駆られた。
その度に「あいつらも出来るんだから、俺にも出来る」という根拠のない自信で己を奮い立たせていた。
とはいえど毎日、寝る・食べる・ゲームの繰り返し。
そんな怠惰な日々だったが人生の転機となる考えが浮かんできた。
趣味のゲームは、海外スタジオが作成している洋ゲーを主にプレイしていたため解説動画やプロの試合(e-sports)は英語配信がメインだった。
だから工業高校レベルの英語が赤点、それどころかbe動詞の意味すら知らない私は彼らが何を言っているのか全く分からなかった。
全く分からないけど、連日英語の動画や配信ばかり見ていた。
そして、ある日ふと「これからの時代は英語が必要だよなぁ~。英語が分かれば動画の内容も理解できるし、英語話せたらかっこいいよくね」と考えついた。
しかし、前述のとおり中学から英語の授業をろくに聞いていなかった私は、be動詞の意味すら知らなかった。
(友人に「ビー動詞分かる?」と訊かれ、「知ってるよB動詞だろ」と答えたら「be動詞だわ、リュウ流石にbe動詞分からねぇのはまずいだろ」と嘲笑されたことは今でも忘れない。)
とりあえず「英語ってどうやって勉強すればいいんだろうか」ということから考え始めた。
『英会話教室』…行くような金はない。
『スピードラーニング』…金がない。
『教材』…勉強する習慣がないから続かない。
色々考えるも答えは見つからない。
元々勉強する習慣の無い奴が勉強をいきなり始めようとする方が無理な話だったのだ。
そんなある日、YouTubeを見ていると某国際カップルユーチューバーの動画が出てきた。
タイトルは「How we met!」
もちろん意味が分からないのでGoogle翻訳を使った。
「どうやって出会ったか!」
という翻訳結果に興味が湧いたので見てみることにした。
あと、私は元々外国人に興味があった。
テレビなどのマスメディアを通じてみる見る外国人がかっこいい、可愛い、綺麗だ…。という単純な理由。
(広告のモデルって外国人ばっかりじゃないですか?)
興味本位から見はじめた動画で彼らは「大学で出会い付き合い始めた」と言っていた。
動画を見ながら単細胞な私は、彼らの話に強烈な魅力を感じた。
「すげぇ」
「俺も英語を勉強して外国人と付き合いてぇ!」
「俺も外国人が多そうな外語大とかに行くか留学して外国人と付き合いてぇな」
と考えた。
動画を全て見終えた後、私は「英語を勉強しよう!」と決意した。
(後に友人から中学・高校の時に「外国人いいよなぁ~付き合ってみてぇと言っていた」と聞かされたのであった…。)
とりあえず東京外国語大学を調べてみたが付け焼刃で受かるような偏差値ではなかった…。
そもそも自分の偏差値っていくらだ?
ましてや親にいまさら大学に行くために勉強するなんて言う話をするのも億劫だった。
それからまた英語を学習する方法について考えることにした。
「さて、どうしたもんか…。」
「やっぱり、日本語が話せる外国人に教えて貰ったら楽だろうなぁ~」
「なんかタダで外国人と知り合いになれる方法ないかな…」
と考えていた。
そこで『外国人と知り合える方法』をネットで検索しまくった。
そして導き出した答えが……。
ペンパル(Penpal)
日本語で言う文通。
ただの文通ではなく、互いに母国語やその他言語を教えあうという名目がある。
(ネット社会なので紙媒体ではなく、メールやその他のチャットツールでやりとりをする形式)
しかし、ネットで人と知り合うことや個人情報を公開することが今ほど一般的でなく、世間一般的に懐疑されていた時代だったので『安全な出会い?』を探すために評判の良いPenpalサイトを探し回った…。
そして、たどり着いたのが
Japan-guide.com
というサイト。
このサイトは訪日・在日外国人向けの世界最大規模の日本旅行・生活・文化情報のサイトで私が見つけた時は日本人+外国人用の交流掲示板(俗にいうコミュニティチャット)があった。
その中にペンパル募集専用ページがあって、ペンパルを募集しているユーザー名とコメントが並んでいた。
日本のことが好きな外国人の方がたくさん「ペンパルを募集しています」的な感じでコメントを書いていた。
ここで私が衝撃を受けたのが、このサイトはプロフィール登録ができるのだが、皆自分のプロフィールをちゃんと書いていた。
私は、ネット上で不特定多数の相手に個人情報を公開するなんて絶対にありえないと思っていたので「すげぇな、マジかよ」と驚いたとともに「真面目にペンパルを探しているんだろうな」と感心した。
顔の見えない相手とのやりとりに抵抗感を持ちつつ、とりあえず片っ端から「始めまして、リュウタです。ペンパルになりませんか?」的な感じでメッセージを送りまくった。
意外と返信はあったが、日本語の読み書きができる人は少なかった。
冷静に考えればこれから勉強をしたいと思う人がいるのだから当たり前だけど楽をしたい私はその工程を端折って「日本語が話せる外国人に英語を教えて貰おう」なんて安易に考えていたけど、現実はそう上手くはいかない。
とりあえず、私は考え方を変えることにした。
「日本語が話せなくてもいいから、外国人と知り合って英語に触れていれば何とかなるだろう」と…。
そこから、google翻訳など様々な翻訳アプリを駆使しながら連絡を取り続けた。
しかし、ペンパルと呼べるまでの関係になった人は殆どおらず、少しやりとりをして音信不通になることが大半だった。
そんな中でも、何人かとはSkypeやLINEなどを交換して連絡するようにはなったが次第にそんな彼らとも音信不通になっていった。
(ペンパル探しは結構難航しており、Japan-guide.com内での返信確率が4割くらいで、そこから連絡が続く人が1~2割という感じでした。)
その原因を自分なりに分析してみると色々な理由があったと思う。
先ず、私が英語を読むにも書くにも翻訳アプリを使わないといけないので返信に時間が掛かる。
時差があるから、返信に大幅なタイムラグがある。
そもそも英語を使ったただの会話になっており、Penpal本来の目的(互いに言語を教えあう)という目的に達していなかったりと色々な理由があった思う。
あと、第一言語が他言語で英語は第二言語だからあまり教えることができないという人も結構いた。
だから、やっぱり第一言語が英語の国の人に教えて貰おうと思った。
そうして自分の中でPenpal相手の条件を定めることにした。
1.英語が第一言語であること。
2.年齢が近いこと。(年齢が離れすぎてて話の内容が若輩には面白くなかったから)
3.女性(単純にモチベが上がる)
4.あわよくば日本語が話せる。
こうして新しく定めた条件でPenpal探しを再開した。
ただこの条件で探すと今まで以上に大変で、募集ページへの投稿日付が半年以上前のところにまで遡って探していた。
ここまで来るとその相手が今もこのサイトを使用しているのかも怪しくなるし、そろそろ別のサイトや方法を探したほうが良いんじゃないか?と思い始めたある日。
久しぶりに日本語の投稿を見つけた。
プロフィールを閲覧すると
・アメリカ人
・同い年
・日本語を勉強している
といった内容が書いてあった。
「これは連絡するしかねぇ」
と思い立った私は直ぐに連絡をした。
「初めまして、リュウと言います。僕は、アメリカに興味があります。なので英語が話せるようになりたいと思っています。」
的な感じで…。
ただ投稿日付は、1年近く前のものだし返信があるか分からないがこの人に賭けてみることにした。
この時、私はまだ知らなかった。
このメッセージが人生を大きく変えることになるとは…。
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