洞窟への調査

 ピトリ女王ヴェイシャはリーザが自身の実妹である事をルルー達に話し、更に魔族が潜んでいる可能性のある洞窟の存在も伝える。


 その話を聞いたルルー達は玉座の間をあとにし、ルルー達の姿が見えなくなると側近がヴェイシャに声をかける。


「陛下、陛下とリーザ様の事はわが国でも一部の者しか知り得ない事にございます。それを簡単に他国の者に事実だとお認めになってよろしいのですか?」

「魔族がわたくし達の存在に気付いた以上こうなるのは必然でした。ですから信じるに値すると感じた彼らには下手な隠し立てはしない方が良いと判断したまでです」

「彼らが信じるに値する?」

「ブロッス帝国のギガス皇帝に打ち勝った時に彼らはそのままギガス皇帝の命を奪わず、あくまでも和平を望みました。その後カイス新皇帝が再度各国に戦端を開いた時も命を奪う事なくその剣を収めさせました。ですからわたくしは彼らを信じる事にしたのです」


 ヴェイシャがギン達のブロッス帝国との終戦の方法から彼らは信じられると側近に対し強調するのであった。


 そして街の外でルルー達の帰りをギン達が待っており、エイムがルルー達の存在に気付き一同に声をかける。


「皆さん、ムルカ様とルルーさんが帰ってきましたよ」


 エイムの促した先を目にするとルルー、ムルカがギン達に駆け寄り声をかける。


「お待たせ、みんな」

「それで女王はなんて言ってた?」

「やっぱり、リーザさんは自分の妹だとおっしゃっていたわ。それからみんなにも話しておかないといけないことがあるわ」


 そこからルルーは王宮の南に洞窟があり、そこへの調査を願い出た事を話す。


 その話を聞いたブライアンがルルーに返答をする。


「なるほどな、そこに隠れて儀式ってやつをしようとしているかもしれねえんだな」

「そうね、狭い道だから軍ではかえってまとめて攻撃されるリスクがあるのよ」

「そこで俺達の出番ってわけだな」


 ブライアンとルルーのやり取りを聞いている中、ギンはエイムにある事を尋ねていた。


「エイム、あの魔法の効果は切れているだろうが、洞窟に入れば奴らの魔力を感知できるか?」

「ある程度近づかないと難しいですが、彼らが私達に対し魔法を使おうとすれば感知はできます」


 エイムの返答を聞いて、ブライアンが全員に呼びかける。


「よっしゃ!そういう事なら早く行こうぜ!リーザを助けて魔族さえ倒せば俺達の戦いも終わるからな」

「待ってブライアン、この人数で行けば結局軍を派遣するのと同じだから、調査メンバーを厳選しなくちゃ」


 いよいよ洞窟への調査へと向かうギン達、果たしてそこで何が待っているのか?

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