混迷するニリ
ギン達が舞台上で異変を感じていたころにブライアン、ルルー、ムルカもまた異変を感じていた。エイムが魔力障壁で魔法を防いだのが見えたルルーがムルカに呼びかける。
「ムルカ様、何者かが魔法を放っていましたが一体?」
「エイム殿が防いだおかげで被害は免れたが……」
ルルーとムルカが話しているとブライアンが2人に更なる異常を報告する。
「見ろよ、リーザがコウモリのような魔物に捕まっているぜ!」
「どういう事なの?何故リーザさんが⁉」
「私が追おう、ルルー、街の人々の避難誘導を頼む。ブライアン殿、他の魔物がいるやも知れぬ警戒しつつしんがりを頼むぞ」
ムルカの指示を聞き、ルルーとブライアンが応えるが、どこからともなく声がする。
「そうはいかないよ」
声の主は姿をすぐにブライアン達に見せ、その声の主の名をルルーが呼ぶ。
「あなたはピッキー⁉どういう事なの?何故リーザさんを狙うの⁉」
「そう聞かれて、答えると思ってんの、言う訳ないじゃーーん」
そう言ってピッキーは得意の石の魔法をブライアン達に放ち、ブライアンの楯で防ぐことに成功する。
「ルルー!こいつは俺とムルカの旦那で抑える。だから早く街の人を避難させろ!」
「でも私1人で街の人を守れるかどうか……」
1人で避難誘導をしつつ街の人を守る自信のないルルーに対してどこからか呼びかける声がする。
「大丈夫です私が避難誘導をするのでルルー様は魔法でお守りください」
「ミニル!来てくれたのね」
「ギルドの仲間もミックサック団の方の避難をしていますし、それにどうやらヨナや傭兵団の人達も避難誘導をしているようです」
「そうなのね、じゃあ私は街の人を守る事に専念するわ」
ルルーはそう言ってミニルと共にその場を離脱し、ブライアンとムルカはピッキーとの戦闘に臨む。
「うおおお!」
「うう、相変わらずの馬鹿力だねえ、まさか魔族のあたいが人間に力負けするなんてね」
そう言いながらピッキーはブライアンから距離を取り、ブライアンはムルカに今の状況の動きについて尋ねていた。
「なあ、リーザはどうするんだ?」
「おそらく、ギン殿達が救出に向かっているであろう、我らはここでピッキーによる被害を減らすのが先決だ」
「そうだな、おらあ覚悟しやがれ!」
ブライアン達がピッキーとの戦闘を再開すると、ルルー達はなんとか街の人達の避難誘導の為、とりあえずボガードが所有している船のドックまで誘導する。そしてその状況にボガードがルルーに声をかける。
「あんたはミッツ教団の?一体どうしたんだ?」
「魔物がこの街に襲撃しました、ひとまずここに避難をさせてください」
「そいつは構わねえが、一体何が起きてんだ?」
リーザを狙う魔族達、その目的は一体?
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