婚約の意味

 ギン達が帝国より朝食をごちそうになっている中、その場にカイスとプラナ、エンビデスが現れ、ギン達にプラナと婚約したことを告げ、それを国内外に発表すると宣言したのだ。


 突然の婚約発表に一同は言葉がないが、ブライアンがカイスに対して言葉を発する。


「なあお前ら、まだ気持ちが盛り上がっていると思うが、少しは落ち着こうぜ」

「そうそう、そんなに焦らなくてももう少し愛を育んでからでも遅くはないぜ」

「それ兄さんがいうの?」


 ブライアンに続いてウィルも発言をするとミニルがツッコミを入れるが、カイスの発言に対しギンが尋ねる。


「お前の事だ、婚約発表をする事に何か考えがあるんだな?」

「さすがだなギン、そうだまずはプラナの立場をはっきりさせておく必要があると思ってな」

「プラナの立場?」

「うむ、やはりプラナが帝国を離反して、再度帝国へ戻って来る事に抵抗のある者もいるはずであろうからそれらを黙らす為には皇帝である私と婚約していると発表する必要があると思ってな」


 カイスの言葉を補足するようにエンビデスが発言をする。


「それだけではない、新皇帝が妃を迎える事は帝国内の結束を高め、諸国にもブロッス帝国が健在である事を示し、そう簡単に隙を突かせぬ効果があると見込んでな」

「エンビデス殿、そう言うが貴殿もカイス殿とプラナ殿の幸せを願っての事であろう」

「フ、さあな、1つ言える事は私は帝国の為に2人の婚約を発表する必要があると助言したに過ぎんという事だ」


 エンビデスがそう言い終えるとギンがプラナに声をかけている。


「プラナ、お前はどう思っているんだ?」

「うん、すごく嬉しいんだけど、なんか怖いの」

「怖い?」

「カイス様はギガス陛下が後見人になってまで育てられた方で、私は一般的な騎士の、それも養女に過ぎないのに、私が妃でいいのかなって思って」


 プラナの発言に対しカイスが自らの考えを伝える。


「プラナ、お前が負い目に感じる事はない、むしろ1度はお前を本意ではないとはいえ突き放した私を受け入れてくれたのだから、もう2度と離さないと決めたのだ」

「カイス様、いえ私の方こそ受け入れて下さりありがとうございます」

「愛する者を受け入れるのは当然であろう」


 カイスとプラナのやり取りを見てウィルが少し怒りの表情で発言する。


「さすがにこれは当てつけひどすぎねえか?」

「お、落ち着いて兄さん」

「そうだぜ」


 ブライアンとミニルがウィルをなだめている中、ヨナがルルーに声をかけている。


「ねえルルー、ミッツ教団にウィルにお似合いの子とかいないの?」

「ご両親の事を考えればいるかもしれないけど、難しいわね」


 ルルーがそう言うとどこからか声が聞こえる。


「皆さん、皆さんの船が帝国に到着したとたった今報告がありました!」


 遂にニリよりの迎えの船が来た。

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