迎えの知らせ

 ブロッス帝国皇帝カイスよりプラナとの婚約を打ち明けられ、驚きが収まらない中、ニリよりの迎えの船が帝国に到着したという一報が入る。


 その一報にウィルが反応する。


「思ったより早いな、よしみんな早く帰ろうぜ。リンド達も心配して来てくれたんだし」

「これ以上カイスさんとプラナさんの仲睦まじい姿を見ていられなくなったのね兄さん」

「う、うるせえ!リンド達をあんま長く待たせちゃあ悪いだろう!」

「はいはい」


 ミニルの指摘に内心図星で同様するウィルであったが、ルルーが同調の意志を示す。


「でも確かに迎えに来てくれた以上、リンドさん達を待たすのは悪いわ。一刻も早くここを発つ必要はありそうね」

「さすがはルルー様、良く分かっていますね」


 ルルーが自らの発言に同意したことを喜んでいるウィルを見てミニルが言葉を漏らす。


「まったく、我が兄ながら呆れるわ」

「まあまあ、でも早くプレツに帰って魔族の事とかは調べなくちゃいけないし、のんびりばかりもしてられないよ」

「そうね、私達が頑張らないとプラナさん達の幸せは守れないもんね」

「そういう事、さ、そうと決まったら行こうよ」


 一同がリンド達が待つ波止場に行く空気になり、発つ前にギンがカイスに声をかける。


「カイス、お前が皇帝として1人の男としてプラナを妃、妻として迎え入れる姿勢に俺は覚悟を感じた。だからプラナのことを頼んだぞ」

「ギン、私はもう何があろうともプラナを離したりはしない!だから信じて任せてくれ」


 カイスの力強い言葉に無言で頷いたギンはプラナに声をかける。


「プラナ、俺達は行くが、きっとまた会いに来る。それまで元気でな」

「うん、兄さん。それから昨日私が言った事を忘れないでよ」

「俺自身の幸せも見つけろだろ、分かっている」

「それもだけど、ちゃんとエイムさんに普段から感謝の気持ちを伝える事もよ」


 プラナの言葉を聞いてギンは少したどたどしく話す。


「あ、ああ分かっている……」

「何でそこで語気が弱くなるのよ、しっかりして」

「ああ……、じゃあまたな」


 そう言いながらギン達はカイスやプラナの前から去ろうとし、その直前にエイムがプラナに声をかける。


「プラナさん、私もプラナさんの幸せを祈っています」

「ありがとうございます、エイムさんの幸せも祈っています」


 そう言葉を交わし終えるとギン達はカイス達から離れていき、カイスがプラナに声をかける。


「本当はまだギンに言いたいことがあったのではないのか?」

「いいえ、あれでいいんです。きっとエイムさんは兄さんの事を好きだと思うので」

「そうか、それでギンにあのような事を言ったのか」

「それだけではなく、きっと兄さんもエイムさんの事をとても大事に思っているはずです。あとは2人次第です」


 ギンとエイム、互いが大事な存在だと思うプラナは2人の幸せを願わずにはいられなかったのだ。

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