反転する意見

 ギン達の説得を受け、カイスは帝国を他国との協調路線に切り替える事をルドルフに提案するが、ルドルフはそれは帝国からの離反者を招き帝国の崩壊を意味するとして、カイスを黙らせるが、そんな時にフィファーナが部隊を指揮し現れ、ルルーが声をかける。


「フィファーナ将軍、こちらにいらしたという事は……」

「そうじゃ、ここにおるルードの協力もあり、多くの領主はプレツやその他の国との戦争の継続を望まんという意志を示してくれた」

「さすがにまだ反対者はいますが、時間をかけて説得していけば良いかと」


 フィファーナとルードによるとプレツや他国とはこれ以上戦争を続けるべきではないという意見に多くが傾き、再度の休戦が結びやすくなったのだ。しかし急な意見の反転に疑問を抱いたヨナがフィファーナに尋ねる。


「だけどどうして急にそんな意見をコロッと変えたの?みんな戦争継続が望みだったんじゃ?」

「それは私から説明します、我が父ルドルフがカイス陛下の参謀という地位を利用し、国庫から金を引き出し彼らを買収していたのです」


 ルードが打ち明けた事実にカイスは驚き、ルドルフに尋ねる。


「何だと!ルドルフ、それは真なのか?」

「何をおっしゃいますか陛下、そのような事を私がするはずはないでしょう」


 ルドルフは買収の事実はない事を主張するが、フィファーナがルドルフに対し言葉を放つ。


「しらばっくれても無駄じゃ、皆が事実を教えてくれたぞ。どうもそちは事前にカイスを皇帝に祀りあげてもらえば奴らに金品を提供する約束をしていたようじゃな。そしてまんまと参謀の地位に就くとは」

「……確かにわしは領主を買収した、だがこれは帝国の結束を高める為であったのだ!お前達のようにむやみに他国の者と通ずる方がどうかしてるではないか!」

「本当にそうですか?」


 ルドルフの言葉にルードは強い言葉で問いただし、ルドルフはルードに対し威圧の言葉を放つ。


「ルード!父たるわしに対しその態度は何だ!いくらお前とて容赦はせんぞ」

「父上が我が領をないがしろにしている事に多くの臣民は不満を感じております。そのせいで我らがどれほど苦労したかお分かりですか」

「わしはお前ならもう十分領主としてやっていける!そう判断したからお前に領地を任せたのだ」

「父上、父上は国を動かすという欲にかられただけです。そして全ての責をカイス陛下に押し付け自分は甘い汁を吸うだけではありませんか!」


 ルドルフの買収を激しく言及するルード、この親子の行方は?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る