処罰の懇願

 ルードは父であるルドルフが帝国本国を動かす欲にかられた事を指摘し、責はカイスに押し付け、自らは甘い汁を吸っているに過ぎないと激しく非難をしていた。


「何を言うか!ルード、わしはなこの帝国を守る為……」

帝国のお間違えではございませんか」

「何⁉」

「父上にとってギガス陛下に最も近しく、政治経験の浅いカイス陛下はコントロールがしやすかったはず。それで領主経験から政治を教える名目でお近づきになった、違いますか?」


 ルードがこれでもかと激しく言及し、ルドルフは反論しようとするが、言葉が中々浮かばなくなってくる。


「わ、わしは……」

「父上、父上がバンス将軍やエンビデス宰相程、ギガス陛下から信を受けていなかった事がずっと心にあり、自らの威信を高めようと思ったのでしょう」

「……」

「ですが帝国もカイス陛下も父上の威信を高める道具ではありません。我らは誠心誠意カイス陛下を支えなければならないのです」


 次の瞬間、ルードはカイスに接近し膝を床につけ、カイスに声をかける。


「陛下、この度は我が父ルドルフが陛下の御意志に反する行動をとった事を子でありながら止められず申し訳ございません!」

「ルード……」

「父に処罰を求めます、無論私も処罰をお受けする覚悟はございます!」


 ルードはルドルフ、そして自身への処罰をカイスに求めるが、その発言に対しプラナが抗議をする。


「お待ちくださいルード様!そのような事をしてしまえばピリカ様が悲しまれます、お止めください!」

「プラナ殿……これはフィファーナ将軍が来るまで何もできなかった僕の力不足でもあるんだ。君からピリカにすまないと言っておいてくれ」

「どうして、どうしてバンス将軍もルード様もピリカ様を置いていこうとするのですか……」


 プラナがルードの態度に涙を流し、それを横目にカイスはルードに処分内容を告げる。


「ルード、お前が処罰を受ける必要はない、それよりもこれからしっかりとルホール地方を頼む」

「え?それはつまり……」

「ルードよ、貴殿をルホール地方領主として正式に任命する。今後も帝国の為に励むがよい!」

「は、はは!」


 カイスはルードを正式にルホール地方領主として任命し戸惑いながらもルードはそれに力強く返し、プラナも笑みをカイスに対して浮かべていた。


「カイス様……やっぱり今のカイス様も私の知るカイス様です」


 プラナがそう言っている中、カイスはルドルフに対して言葉を発する。


「ルドルフ、お前なりに未熟な私を支えようとはしたかもしれん、だが自らの欲に溺れたお前はしばらく身柄を拘束させてもらう、処分は追って伝える!どこか空いた部屋で過ごしてもらうぞ、連れていけ!」

「はっ!」


 カイスの部下に連れられルドルフはカイス達の前から姿を消した。これにより今後の帝国の動きはどうなるのか?

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