協調路線

 プラナの真心に触れたカイスは少しづつではあるが態度を軟化させていき、カイスを側で支えていきたいというプラナの言葉に対しカイスは返答をする。


「プラナ、お前がそこまで私を思ってくれていた事に今まで気づかなくてすまなかった」

「カイス様……いえ……」

「そしてありがとう、お前やエンビデス、トーラス、そしてギン達のおかげで目が覚めた」

「それじゃあ……」


 プラナが期待の眼差しでカイスを見つめるとカイスはルドルフに駆け寄り自らの考えを伝える。


「ルドルフ、今後ブロッス帝国は他国との協調路線に切り替えるべきだと思う。すぐに他国に使者を出し和平交渉を行うべきだ」

「何をおっしゃるのですかか陛下!あんな我らを裏切った小娘やエンビデスらの言葉に耳を傾けるなど、そうしてはまた離反者が後を絶ちませんぞ!」

「プラナは私の判断で兄の元に帰しただけだ!それに領主達は時間をかけてでも説得する!」

「その前に帝国そのものがなくなりかねません、それでよろしいのですか?」


 カイスの言葉を聞き入れるそぶりを見せないルドルフに対し、ムルカが声をかける。


「ルドルフ殿といったな、カイス皇帝さえ我らと盟を結んでくれたら公的にプレツがブロッスの支援ができる。無論領主の説得にも力を貸すことを約束しよう」

「黙れ!敵性国家たる貴様らの言葉など聞けるものか!」


 ルドルフがムルカの提案を一蹴する様子を見てヨナが言葉を発する。


「なんかもうあのオヤジだけぶっとばしたほうがいいんじゃないの?」

「同感だ、こうなったら少し手荒だがあいつにおとなしくしてもらうか」


 ブライアンがヨナの意見に同調してルドルフに制裁を加えに行こうとするとジエイがブライアン達に声をかける。


「ブライアン殿、ヨナ殿、少しお待ちください!」

「何だよジエイ、まさかあいつを見逃すのか?あいつをどうにかしねえといつまでもカイスが決断できねえぞ」

「そうではありません!何者か、それも集団でこちらに接近しております」

「まさか援軍か⁉くそ!あと少しだってのに」


 悔しさを露わにするブライアンに対し、ヨナがある提案をする。


「悔しがっている場合じゃないよブライアン、あたし達でせめて足止めだけでもしようよ」

「そうだな、ギン!カイスを頼むぞ!」


 ブライアンがギンにカイスの様子をしっかり見るよう懇願するとジエイは足音の先にいる人物に気付く。


「あれは……」


 そしてその人物が到着し、その人物の名をルルーが叫ぶ。


「フィファーナ将軍⁉」


 この場に現れたのは何とフィファーナであった!彼女がここに来た意味とは?

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