真ん中の道

 ブロッス帝国領内で帝都に通ずる森の前まで到着したギン達はジエイの森の調査により、比較的兵士の警戒が薄い3つの道を3組に分かれて移動することとなり、ジエイがそれぞれの組に地図を渡していた。


「それではルルー殿、ウィル殿、この地図に書いた道を通れば帝国兵を避けれる可能性は高いです」

「ありがとうジエイ、無駄になった地図がこんな形で役に立つなんて」

「こういう時にお前がいて助かったぜ」

「では、無事に森を出て再会することを祈って行きましょう」


 ジエイの言葉を聞いて、各組に別れ、文字通りそれぞれの道を歩んでいった。


 真ん中の道をギン、エイム、ジエイ、プラナと傭兵達が歩きながら進み、ジエイが地図を持って先導していた。


「ジエイ、さすがにまだ俺達の密航はばれていないとは思うが、フィファーナが先に疑われてしまえば、そこから俺達の存在も知られて帝国の全戦力が俺達を叩き潰そうとするはずだ」

「ええ、あの時は魔導騎士団の帰還に乗じることができたうえ、遠征軍を編成したので帝国内の兵は比較的少なかったですが」

「遠征軍の帰還には成功しているうえ、後ろ盾があるとはいえカイスが皇帝になっている以上、早く事を収めないとさすがに俺達でも数の前に潰されてしまう」

「ですがギン殿、焦りは禁物です。この森で我々が見つかってしまえば、城内の防衛体制は整えられ、カイス殿の所に行きつく事さえますます困難になります」


 ギンは急いでカイスの元にたどり着き説得を試みなければ、自分達は包囲されて帝国軍に叩きつぶされる事を懸念するが、ジエイは森で兵に見つかる事で城内の防衛体制が整えばカイスの元にたどり着ける可能性が低くなる事を主張している。


 もっとも互いに相手の言い分もそれなりに理解ができる為、多少の意見の食い違いにも険悪な雰囲気にならず落ち着いた様子であり、結局はギンもまずは見つからない事が先決だと考えている為、ジエイの意見を無視するような行動は見られない。


「エイム、魔力とかの感知はどうだ?」

「魔術師らしき魔力は感じないので森に魔術師は配置していないですね」

「そうか、感知も神経を使うだろうしあまり無理はするな」

「大丈夫です、それに強い魔力を発せられれば嫌でも気付きますから」


 それぞれが周りを警戒しつつも兵士との遭遇はなく、無事森を抜ける事に成功した。

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