三等分の地図
ブロッス帝国にとって自身は離反者であり、例え再度の休戦に成功しても自らを受け入れてもらえないと考えているプラナに対し、エイムが気遣いの言葉をかけ、ウィルが前向きな言葉を言った事で、プラナの気持ちは少しではあるが楽になっていた。
そんな時にジエイが森の調査より戻って来て、ジエイにムルカが声をかける。
「戻ったかジエイ殿、していかがであった?」
「はい、兵士が配置されておりましたがそれ程多くはなく通過はさほど難しくはないかと」
ジエイとムルカのやり取りを聞いて、ブライアンがジエイに声をかける。
「よし、そういう事ならさっさと案内してくれ、安全なルートを確認したんだろう」
「お待ちください、ブライアン殿。いくら何でもこの人数で固まって動けば察知されるかと」
「あ、そうか、そんじゃ、どうすんだ?」
兵士の数は少なく、森への警戒は比較的薄いと見ているジエイであったが、さすがに大人数で固まって動くのは無謀だと主張し、それに対してどう進むかブライアンが疑問を投げかけると返答をする。
「それについては考えがあります、ルルー殿、確か帝国領内の地図を持っていましたな?」
「ええ、持っているけど結局使わずじまいだったわ」
「地図を私に下さいますか?」
「あげるの?貸すじゃなくて、まあいいわ」
疑問を抱きながらもルルーはジエイに地図を手渡し、突如ジエイが地図を三等分に切り刻む。
唐突にジエイが地図を切り刻むため、ルルーは思わずジエイに抗議をする。
「ちょっとジエイ!下さいって言ってすぐに切り刻むなんて何を考えているのよ?」
「失礼、ですがしばしお待ちを」
そう言ってジエイは地図の裏側に何かを書き、書き終えると書いた内容について語り始めた。
「これをご覧ください、これはこの森の中で比較的兵士に見つかりにくく進みやすい3つのルートです」
「だから地図を三等分にしたのね」
「それにしても地図の裏に別の地図なんて書く奴なんて世界広しと言えどお前くらいじゃねえか」
「それはともかく、3組に分かれて移動すれば、兵に見つかっても全員が足止めされることはありません」
ジエイの言葉を聞いて、ギンがジエイに組の分け方を尋ねる。
「それで、組みはどう分ける?」
「真ん中の道をギン殿、エイム殿、プラナ殿、そして私が。右の道をムルカ殿、ルルー殿、ヨナ殿が。そして左の道をブライアン殿、ウィル殿、ミニル殿でお願いします。各ルートに傭兵の皆さんも大体でいいので3分の1づつ付いて進みましょう」
「よし、それならその組で早速森に行くぞ」
3つの道を使い、ギン達は帝都を目指す。
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