進め!帝都までの道

 フィファーナの協力もあり、ギン達は帝都まで通じる森までカイスへの献上品として偽装した箱に入り、フィファーナの部下に運搬されてたどり着いた。


 部下達はフィファーナの領地を防衛する為、その場をあとにし、森からはギン達だけで進むこととなった。


「とりあえず森を進もう、帝国に俺達の侵入がばれるのは時間の問題だろうが、なんとかギリギリまでは見つからないように気をつけよう」

「そうね、森に兵士を配置している可能性もあるし、慎重に行きましょう」


 ギンとルルーのやり取りを聞いてジエイが声をかける。


「ではまず私が様子を見て来ましょう、兵の配置を確認してから安全なルートを確認次第戻って、皆さんを先導します」

「そうだな、できうる限り避けれる戦闘は避けた方がいいだろう」

「頼むわよ、ジエイ」

「承知」


 そう言ってジエイは兵士に見つからないように安全なルートを確認する為に森の中に入っていく。


「一応周りを警戒しておこう、帝国領内ならどこに兵士がいてもおかしくないからな」

「そうだね、あんたら少し散らばって辺りを見渡してくれ、そんで怪しい奴を見かけたらあたし達にしらせな」

「分かりやした」


 そう言ってヨナの部下の傭兵達は分かれて周囲の警戒にあたっていく。


 ジエイが森の中の調査に、傭兵達が周囲の警戒をしている中、プラナが落ち着かない様子にエイムが気付き、プラナに声をかけている。


「プラナさん、どうしたんですか?なんか落ち着かないようですけど」

「この帝国領内でずっと過ごして堂々と歩いていたのに、今こうやってコソコソしているのが少し変な感じで落ち着かないんです」

「そうなんですか、でも私達がカイスさんをしっかり説得してプレツと帝国がもう1度休戦を結べればプラナさんがコソコソする必要はありません」

「帝国……、プレツ……」


 突如考え込んだプラナに対し、再度エイムが声をかける。


「プラナさん、どうしました?」

「あ、すいません、説得が上手くいけば帝国とプレツの国交は正常化し、交流がもてるかもしれません。ただそれでも私は帝国にいれるかどうか……」

「プラナさん……」

「カイス様が例え私を受け入れてくれても……、離反者である私を他の方々が許すかどうか……」


 不安を吐露するプラナに対し、ウィルが声をかける。


「あのさ、確かあんたが命がけで子供達を守ったから、あんたを恨んでいた兵士もあんたの事を許すっていうか、理解してくれたんだろう」

「え?は、はいそうですが」

「あんたの発言を聞いても、カイスの事もあるだろうけど、帝国そのものへの忠義が失われているわけじゃない。まあ、カイスがあんたを死んだ事にして離反させられたから少しややこしいんだよな」


 ウィルの発言には一見まとまりがなく感じていたが、それででも真剣に伝えようとしているのでプラナは聞き入り、ウィルはプラナに対し核心の部分を伝える。


「他の奴らはともかく、魔導騎士団の奴らはあんたが帝国への忠義まで失っていねえって理解しているはずだ。俺達はカイスの前にトーラスって奴を説得するから上手くいけばきっとあんたも受け入れてもらえるさ、まあ、ギンと過ごすか、帝国に戻るかはその時にゆっくり考えりゃいいんじゃねえの」

「ありがとうございます、少し気持ちが楽になりました」


 エイムの気遣い、そしてウィルの前向きな発言にプラナの不安は少しではあるが軽減されていた。

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