献上品への偽装
いよいよフィファーナの船はブロッス帝国にたどり着こうとしており、一同の目には波止場が入る。そんな時、フィファーナがギン達に声をかける。
「いよいよ帝国に着く、じゃがそち達はそのまま行くと確実に捕らえられるうえ、わらわも反逆者として処断される、そこでこれに入ってもらう」
フィファーナがそう言うと、フィファーナの部下は大きな箱をいくつも運んできて、その箱の事をブライアンが尋ねる。
「何だこの箱は?もしかして俺達この箱に入るのか?」
「その通りじゃ、この箱はカイスへの献上品として波止場の兵に説明し、わらわの部下が帝都まで運んでくれよう」
運搬用の馬車も複数あり、準備は整っていると察したギンが一同に呼びかける。
「これだけの箱と馬車があれば俺達全員を一気に移動させられそうだな、よしみんな箱に入るぞ」
ギンの呼びかけに応じ、各々が箱に入り、フィファーナの部下達により馬車に載せられていく。
そして遂に船は波止場に着き、フィファーナ達は上陸する。
フィファーナが上陸すると波止場の兵がフィファーナに声をかける。
「お帰りなさいませ、フィファーナ将軍!グラッスの件はお疲れさまでした。既に陛下にもご報告しております」
「うむ、ご苦労であった」
「ところで将軍、その馬車に何か載せられておいでなのですか?」
「ああ、これは新皇帝の即位祝いとして献上しようと思うてな」
フィファーナの言葉を聞いて、兵士は納得しかけるもフィファーナの移動する方向が帝都でなかった為、尋ねる。
「お待ちください、献上なさるとおっしゃるならフィファーナ将軍はどちらに行かれるのですか?そちらは帝都ではないですが」
「一旦領地に戻って、衣装の着直しじゃ、新皇帝への挨拶の為にな、品は先に届けておけば問題あるまい」
フィファーナはそう言うと自らの馬に騎乗し、目的地を目指していった。
そしてフィファーナの部下は箱に入れたギン達を載せた馬車を帝都まで移動させていく。
しばらく移動し、馬車が停車するとギン達が入っている箱がそれぞれ開かれていき、ギン達が外に出ると見覚えのある森であった。
「この森は確か?」
「ここって、トーラスが俺達を波止場まで案内する為に通った森だったよな」
ギンとブライアンのやり取りの中、フィファーナの部下が声をかける。
「万一、反逆者とみなされるとフィファーナ様の領地が狙われますので、我々はこれより戻ります、申し訳ないが、ここからはあなた方だけでお進みを」
「分かった、ここまで連れてきてくれただけでも助かった」
ギンの言葉に頷き、部下達はフィファーナの領地に戻り、防衛の準備を進めることとした。
帝都までは目と鼻の先まで近づいた。いよいよカイスの説得だ!
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