知らされた危機

プラナがホセと共にミッツ教団の運営する孤児院を守っている頃、スップの街中を歩き回っていたギン達はミッツ教団の教会へと戻り、大聖堂へと入っていった。


 そこにはルルーとムルカがおり、ルルーがギン達に声をかける。


「お帰り、みんな」

「ルルーさん、ただいま戻りました。あ、ムルカ様、もう訓練は終わったんですか?」


 エイムの問いに対しムルカが返答をする。


「うむ、しかしたるんでいる者も多く、改めて鍛え直したが少々先が思いやられるな」


 ムルカが最近の神官戦士達の鍛錬不足に対し嘆きの言葉を言っていると、話題を変えるようにギンはルルーに尋ねる。


「そういえば、何でルルーとムルカ殿が聖堂にいるんだ?調べ物は終わったのか?」

「ううん、さっきグラッスの情報が入って来て、魔族が裏で手を引いていたみたいなの」

「魔族が⁉それでヨナ達は?」

「ヨナ達がその魔族を倒して、側近も拘束されたことで、国王主導で現在帝国との休戦交渉を行っているみたいよ」


 その話を聞いて安堵の表情を浮かべるエイムがルルーに尋ねる。


「それは良かったです、それでヨナさん達は今はどうしてるんですか?」

「それは分からないわ。特にヨナは元々トッポックス領主の娘だったわけだし」

「そうですよね……」


 ヨナにも帰る場所ができたことが嬉しい反面、このまま別れてしまうかもしれないことにエイムとルルーは複雑な思いでいた。


 そんな時、突如聖堂内に何者かが慌てて入って来た。


「た、大変です!ブライアン殿!ギン殿達!」

「マイクじゃねえか!一体どうしたんだ?」


 聖堂に入って来たのはスップの防衛兵団に所属するマイクであり、ブライアンの問いに返答をする。


「はい、今兵士から報告が入ったんですが、ミッツ教団の孤児院に魔物が襲撃しています!」

「何ですって⁉それで状況はどうなっているんですか?」

「兵士のホセが1人残って、世話人の女性と一緒に魔物を食い止めています」

「マイク、ホセって誰だ⁉」


 ルルーの問いに状況を説明し、ブライアンの問いに答える際にエイムに呼びかける。


「エイム殿、ホセはマリンっていう女の子の兄です」

「マリンちゃんの⁉」


 エイムがマイクの問いに驚愕しているとギンは世話人の女性についてマイクに伝える。


「マイク、その世話人は多分俺の妹だ!」

「そうなんですか⁉」

「ああ、みんな!」


 ギンの問いかけに一同は無言でうなずき、聖堂から出ていき、マイクも後に続こうとするがブライアンに声をかけられる。


「お前は念の為、ここの神官戦士にも報告しといてくれ、俺達は先に向かっている」

「はい、お願いします」


 プラナと子供達の救出にギン達は急ぐ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る