結界への玉砕

 マイクより孤児院が魔物に襲撃を受けている知らせを受けたギン達は急ぎ、孤児院へと向かっていた。


 そんな状況を知らないプラナは負傷し戦闘不能になったホセを守りながら戦う決意を固め、ホセに声をかける。


「剣をお借りします、これで私も少しは白兵戦でも戦えます」

「気を……つけろ、あの魔物相当できるぞ……」


 ホセの忠告にプラナは無言で頷き、ゴズに向かおうとするが、その際にゴズが魔物に指示を出す。


「少し早いが軍が来る前にエサは少しでも頂きたいからな、お前達結界に突撃しろ!」


 ゴズの指示を受け、シルバーウルフ達が突撃していく。結界に衝突し、シルバーウルフは弾き飛ばされるが、結界そのものにも衝撃が走り、プラナにもその光が見え、驚愕する。


「結界に衝撃が一体どうして⁉」


 結界が受けた衝撃は孤児院内にも伝わり世話人の1人がその衝撃で態勢を崩してその場に倒れてしまう。


「大丈夫ですか⁉」

「申し訳ありません、急な衝撃が来て……」

「立てるなら早く立って構え直してください、私達の結界が解除されれれば子供達を守り切れません!」

「は、はい!」


 マザーの叱咤に世話人は立ち上がり、結界を張る構えを再度行う。


 孤児院の外では生身のシルバーウルフが結界にわずかながらも衝撃を与えたことにプラナは疑問を抱き、ゴズにその疑問をぶつける。


「どういうことだ⁉ただのシルバーウルフが体当たりだけで魔力で作った結界に衝撃を与えらえるなんて、答えろ!」

「奴らにはわずかではあるが俺の魔力が込められている、それでもあれ程の衝撃があるという事は俺自身ならば簡単にあんな程度の結界を破壊できるということだ」

「ならば貴様を早々に倒す!そうなればあのシルバーウルフは恐るるに足らん」

「ふっ、できるかな」


 その言葉にプラナは剣でゴズに斬りかかるが簡単にかわされてしまい、逆にプラナに斬りかかり、プラナの持つ剣を折ってしまう。


 その衝撃でプラナも倒れこむが、すぐにゴズに対し、火の魔法を放つがゴズが手をかざすと魔法が打ち消される。


「そんな程度の魔法が俺に通用するわけはないだろう、では死んでもらうぞ」


 もはやこれまでかと思われたその時に、ゴズは自身に対する殺気を感じ、咄嗟に後方に剣を向け、剣戟を防ぐことに成功する。


 ゴズに剣を向けた剣士の姿を見てプラナは声をもらす。


「に、兄さん……」


 その場に現れたのがギンであり、つば競り合いをしているゴズをギンは蹴り飛ばし、吹っ飛ばしてからプラナに向いて声をかける。


「大丈夫か?プラナ」


 兄であるギンが救出に来てくれ、希望が見えたプラナである。

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