魔導石
密かにグラッスに潜入していたフィファーナにより、グラッス国王側近のガンシルが魔族より支援を受けていた事が打ち明けられたが、ガンシルはその事実を否定する。
ガンシルの言葉を聞いたフィファーナは突如、謎の石を取り出し、言葉を発する。
「そちがあくまでしらを切るというなら、わらわにも考えがある。これを見よ」
そう言ってフィファーナはその石を兵士達に対し投げつけ、石が床に落ちた瞬間に石より眩い光が放たれる。
その石の光にその場にいた全員が目を閉じる。
最初にヨナが目を開けて目にしたのは意外な光景であった。
「ど、どういうこと兵士の1人が魔物と化している?」
戸惑うヨナに対し、フィファーナが状況を説明する。
「正確には元の姿に戻したのじゃ」
「それってさっきの石が関係してるの?」
「そうじゃ、あの魔導石はかかっておる魔法を打ち消す効果があるのじゃ、おそらく変身の魔法を使っておったのじゃな」
フィファーナが説明すると、角をはやし、青い顔の魔物が突如言葉を発する。
「しかし、何故だ?その魔導石を使うからには何かしらの確証があったはずだ」
「もちろん、そちらもそう簡単に尻尾を出さんと思ったから苦労した。じゃがそちらの焦りが我らに決定的な情報を与えたのじゃ」
「焦りだと?」
「帝国の領主共の中にカイスを排除しようとした者が間者としてこの国に赴いたのを利用し、わらわの部下を密かにその交渉の場に潜ませたのじゃ」
フィファーナはグラッスに接近した領主の間者とガンシルの交渉の場に部下を潜ませていたことを話すが、同時にその魔物にも疑問が浮かんだ。
「だがその交渉の場にはガンシルしかいなかったはず。私の存在に気付くなどあるまい」
「甘いのう、ガンシルを尾行し、そちに指示を仰いでいたのを部下より報告を受けておったぞ」
「何⁉」
「グラッス王の側近がただの兵士に相談しているのは不自然じゃからな」
フィファーナの発言を受け、魔物はガンシルに対し激昂する。
「ガンシル、貴様の失態のせいで我らの計画が崩れてしまったではないか!この無能めが!」
「ひぃぃ!お、お許しください!」
ガンシルが魔物の支援を受けていた事実に対し、思わずグラッス国王はガンシルを問い詰める。
「ガンシル!何故だ?何故魔物などと手を組んだ!答えよ!」
「陛下、これは全てグラッスを守る為なのです。どうかご理解いただきたい」
「では、ダリルを排したのもグラッスを守る為か?」
「も、もちろんです。帝国の傘下になるよりも……」
「嘘だ!」
突如ヨナの叫びが部屋中に響き渡る。ヨナの訴えとは?
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