玉座の間
城門を突破することに成功したヨナ達はかつてヨナがこの城に来たことがあるという話をしていたが、その途中でどこからともなく声が聞こえる。
「昔話なら後でゆっくりしましょう、今の我々には他にやるべきことがあります」
声の方向をヨナ達が向いた先にはジエイがいて、ウィルが最初にジエイに声をかける。
「ジエイ!兵士達はどうしたんだ?」
「私が火を放ったのは倉庫でしたから、そこの壁を利用して閉じ込めました。しばらくは動けないでしょう」
「そっか、よしヨナ早く玉座の間に案内してくれ」
ジエイの懇願を聞いてヨナは返答をする。
「分かった、それじゃあみんなこっちだよ」
ヨナの案内に一同は玉座の間を目指す。
途中にも兵が立ち塞がるがジエイが倉庫の近辺の壁でがれきを作り、そこで多くの兵士の足止めに成功しているため、それ程多くの兵は現れず、突破も容易であった。
そしてヨナがある所で足を止めると他の仲間に呼びかける。
「みんな、ここだよ」
ヨナがそう言うと、全員が大きな扉を目にする。ヨナによればここが玉座の間だというのだ。
「まず私が開けましょう、罠があるかもしれませんからな」
ジエイがそう言って扉を開けると玉座の間にはグラッス国王、側近、そして近衛兵がいた。
そして側近に対し、ヨナは口上を述べる。
「よ、よし、ここだ。我らがグラッスの王を欺く奸臣をトッポックス領ダリルの娘ヨナの名において貴君を討ち果たすことをここに宣言する!」
「フハハハ、わしが奸臣だと、娘よそんな言いがかりをつけるために、わざわざこのような場所まで来たのか」
「あんたらが王様を騙して帝国との戦争をしようとしていることは分かってんだよ。これ以上帝国と戦う必要はないはずだよ、だからすぐに停戦をしてよ」
「これは全て陛下の御意志、我らはそれに従うのみだ」
側近の発言を聞いて国王は表情を曇らせながらもヨナに言い放つ。
「う、うむ。娘よ、帝国は自ら戦いをけしかけておいて、自らの都合で休戦をもちかけたのだ。奴らに命を奪われた民やその家族を思えば私は彼らを許すわけにはいかんのだ」
「でも……」
国王に何かを言わんとしようとしたヨナであったがジエイが小声で声をかける。
「ヨナ殿、あの表情から国王も今の状況を正しいとは思ってはいないはずです」
「だったら……」
「国王の説得よりも側近を捕らえましょう、そうすれば我らの言い分が通るはずです」
「分かった」
ヨナが側近の方を睨んだ瞬間、側近は兵に命令を下す。
「どうやら我らに刃向かうようだな、おい、ここに奴らを」
「はっ!」
側近の命令で兵が連れてきた人物を目にするとヨナは驚きのあまり声をだす。
「父さん!フランツ!ニー!」
その場に連れられたのはヨナの義父であるダリル、義弟のフランツ、侍女のニーであった!
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