不幸をよぶ存在
グラッス国王の玉座の間にたどり着いたヨナ達であったが、国王の側近はその場に縄で拘束されているヨナの義父であるダリル、義弟のフランツ、そして侍女のニーの姿をヨナ達の目の前に出したのだ。
驚きを隠せないヨナは思わず声をあげる。
「父さん!フランツ!ニー!」
ヨナの声に対し、3人は弱弱しくも返答をする。
「ヨナ、何故お前がここに……」
「姉上……」
「申し訳ありません、ヨナ様……」
3人の声を聞いてヨナは疑問を口にする。
「どうして、父さん達だけじゃなくニーまで?」
ヨナの疑問をあざ笑うかのように側近が答える。
「知りたいならば教えてやろう、トッポックスの屋敷に兵でもない女が入っていったという情報を得て、もしやと思い近くの村を捜索したらその女がいた。追放した侍女の愚かな事よおとなしくしていればこのような目にあわなかったものを」
側近がヨナに事実を話しているとウィルが小声でジエイに話しかけている。
「ジエイ、あの3人を先に見つけられなかったのか?なんでだ?」
「城内はくまなく探しました。ニー殿はもちろん、父君達の姿がなかったので、別の場所に移送された可能性を考えました」
「どういうことだ?」
「魔法か術で巧妙に隠したのでしょう、しかしニー殿に関しては私の判断ミスです」
ジエイが自らの判断ミスを嘆いていると、ヨナが力なく言葉を発する。
「違うよ、ジエイ……」
「ヨナ殿?」
「あたしが、あたしがいるからだよ、あたしと関わるとみんな不幸になるんだ」
ヨナの突然の発言にウィルは思わず声をあげる。
「何言ってんだお前⁉」
「だってそうじゃないか、あたしと関わった人達はみんなとんでもなく不幸な目にあっている!」
「そんな事……」
「あるよ!本当の両親と弟は魔物に殺されて、今は父さん達が殺されそうだ!義母や師匠だって急に病気で死んじゃうし、このままじゃあんた達だって……」
自らに関わる者達の不慮の死、その思いがヨナの心を支配し絶望から抜け出せないでいた。
そんなヨナに側近の悪魔のささやきが迫っていた。
「まあ、そう嘆くな娘よ。お前が我らへの矛を収め、対帝国への先兵としてこやつらと共に戦うというならこの者達の命は助けてやらんでもない」
側近の提案に対し、ジエイが抗議をする。
「そのような条件呑めるはずがない!我々は貴国と帝国との戦いを止めるのが目的だ!」
「黙れ下郎が!わしはその娘に聞いているんだ」
自らの存在が不幸を呼ぶという考えに心を支配されるヨナ、このまま絶望に身が沈むのか?
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