城門突破

 ジエイの城内での陽動作戦での城内の混乱、そしてヨナの部下の傭兵達が街中の兵を抑えている間にヨナ達は王宮へと突入しようとしている。


 ヨナの傭兵達は腕利きの猛者であり、次から次へと数名の兵士をなぎ倒していくが、何名かを逃し、その兵達はヨナ達を追撃する。


 それを見てヨナは言葉を発する。


「くそっ、やっぱりあたし達も戦うしかないか」

「焦るなよ、ヨナ!ミニル、風の楯をあいつらに飛ばしてくれ」

「分かったわ」


 そう言ってミニルは追ってくる兵士達に対し風の楯を飛ばし、兵士達を吹き飛ばす。


「ごめんなさい、でも今はあなた達に捕まるわけにはいかないの」


 ミニルは謝罪と捕まらないという決意の言葉を放ち、再びヨナ達と走り出す。


 王宮へ向かう途中にも兵士の邪魔ははいるがウィルが白兵戦でなぎ倒していき、城門の突破に成功する。


「さてと、ここからどうやって玉座の間に行くかだな」

「大体だけど、場所なら覚えているよ」

「え?ヨナってこの城に来たことがあるの?」


 ミニルの疑問にヨナが答える。


「小さい頃、父さんに連れらてね、王子様の生誕日祝いに」

「まさか、その王子さまって……」

「そうだよ、今の王様だよ」


 ヨナはかつて今の国王が王子だった頃にこの城を訪れていたことを打ち明けるがウィルが思い出したかのように言葉を発する。


「だけど、お前確か屋敷の生活にもなじめなかったんだろう、そんな奴が他の貴族となんて話せたのか?」

「大人は大人同士、子供は子供同士で交流するんだけど、やっぱりあたしは生まれつきの貴族の子とは合わなくて義母に体調不良って事にされて席を外させられたよ」

「そんな事があったのか」


 義母に体調不良ってことにされて別室で休まされていたことを話すヨナであったが、その時に起きた出来事も話す。


「体の調子も悪くないのに、1人でいて退屈していたあたしを心配して王子様がその部屋に来たんだよ」

「わざわざ王子様が来たの?」

「本気であたしが病気で寝込んでいると思って、退屈しないようにって本を読んでくれたんだよ」

「どんな本?」


 ミニルの質問にヨナが少し顔を伏せながら返事をする。


「笑わないでよ、よ、妖精とかがでてくる話だよ」

「妖精、あ、思い出した!前にルルー様がおっしゃっていたけどヨナってそういうの好きって聞いたことあるわ」

「し、知ってたの?ルルーの奴、余計な事言って」

「ルルー様だけじゃなくてエイムも言ってたわ。『ヨナさんに妖精をお見せできる魔法があればいいんですけど』って」


 少し照れるヨナであったが強い面以外を見てくれる仲間がいることにどこか安心感を持っていた。

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