朝を迎え

 ヨナが自らの本心を涙ながらに打ち明け、そのまま夜は更けていった。


 泣きつかれたヨナが居間のソファーでそのまま眠ってしまうとミニルはヨナの身体にかけられるものを探しに居間を出るが、出た瞬間に声をかけられる。


「ミニル」

「兄さん、それにジエイさんも」


 ミニルに声をかけたのはウィルであり、ジエイもウィルの近くにいた。ミニルの声を聞いてウィルがミニルに尋ねる。


「ヨナは?」

「眠ってるわ、とりあえず何かかけるものを取りに行こうと思って」

「そうか、何かあいつずっと気を張っているような感じだったもんな」

「ええ、だから今夜くらいはゆっくり眠らせてあげましょう」


 ミニルの気遣いの言葉を聞いてジエイが同調する。


「そうですね、ミニル殿も用がすめばお休みください。我々も交代で休みますので」

「ありがとうございます、兄さん、居眠りしないように気をつけてね」

「うるせえ、こっちは親父の手伝いで徹夜なんてざらなんだよ」


 ウィルの言葉を聞くとミニルはそのままヨナのからだにかけるものを探しに向かった。


「さあ、もう少し見回りをしたら傭兵団の方と交代して我々も休みましょう」

「そうだな、奴らが夜襲をするかもしんねえしな」


 ウィルの心配は杞憂に終わり、その夜の襲撃はなく、無事に朝を迎えた。


 翌朝、屋敷の食堂にはヨナとミニル、傭兵達とトッポックスの兵達がテーブルでニーや傭兵達が作った朝食を食べていた。


 少し遅れてジエイとウィルがヨナ達のいるテーブルに現れ、ヨナが声をかける。


「ジエイ、ウィル、おはよう。昨日はごめん、なんか気を遣わせてしまって」

「何のことですかな、我らは異常を確かめる為に見回っていただけですが」

「そう……、ちゃんと眠れてる?」

「問題ありません、朝食を終えたら作戦を開始します」


 ジエイが朝食後に作戦を実行することを述べると、ヨナは気になる事がありジエイに尋ねる。


「ここも戦場になるんだよね……」

「無論です、敵がここを放置する理由がありませんので」

「それなら、ちょっといい」


 ヨナはそう言うと、食器の片づけをしているニーに声をかける。


「ニー、ちょっといい?」

「何でしょうか?」

「グラッスの兵がここにまた攻めてくるかもしれない、ニーは今の間に屋敷を出てどこか安全な場所に避難していて」

「何をおっしゃるんですか?ニーはこの家に仕える身です。逃げる事などできません」


 あくまで自分は屋敷に残る事を主張するがヨナも自らの考えを訴える。


「もし、あたし達の作戦が失敗したらニーだって反逆者への協力者だってみなされるよ、屋敷にさえいなければ知らないを通せるから」

「ですが、ニーは……」


 ヨナのニーへの説得にミニルが助け舟を出す。


「少しよろしいですか?」


 ミニルはニーに何を告げるのか。

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