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 グラッスの兵が再度トッポックス領主の屋敷を攻めてくることを危惧したヨナは侍女のニーに対し、屋敷を離れ避難するよう呼びかけるが、ニーは屋敷に残る事を主張する。


 ニーへの説得に窮するヨナに対しミニルが助け舟を出す。


「すいません、ちょっとよろしいですか?」

「ミニル、どうしたの?」

「ヨナ、ちょっと私に任せてくれる」


 そう言ってミニルはニーに対して声をかける。


「私からもお願いします、どうかニーさんはこの屋敷を離れてください、反逆者として疑われるのもそうですが、ヨナさんは万一戦いに巻き込まれる不安があるんです」

「あの、どうしてお嬢さんまでそのような事をおっしゃるんですか?」

「昨日のヨナさんとニーさんの会話やお2人からそれぞれお話を聞いて思ったんです。ここを取り戻せた時にはそこにみんないなくちゃいけないと」

「みんなとは?」


 ニーの問いにミニルは力強く答える。


「ヨナさん、お父さん、弟さん、そしてニーさんです」

「でも私はただの侍女に過ぎません」

「昨日のヨナさんのあんな穏やかな表情を見ていると、きっとヨナさんはニーさんに甘えられて嬉しかったんじゃないかと思います」

「私に」


 更にミニルはニーに言葉を続ける。


「はい、あんな顔のヨナさんを私は見たことがなかったです。侍女の責任を守りたいニーさんの気持ちも分かります。だけどヨナさんの為にもここは避難してください」

「ヨナ様……」


 思わずヨナの名前を呼んだニーに対し、ヨナも本心を話す。


「あのさ、ニー、やっぱりあたしもここに帰りたい。だからその時はニーもここにいて欲しいんだ」

「ですがヨナ様、ヨナ様が危険なところに行くのに、ニーが安全なところにいるのは……」

「大丈夫だよ、あたしはきっと父さんとフランツと一緒にここに戻るよ。だってあたしの仲間はすごく強いんだからさ」

「ヨナ様……」


 更にヨナはニーに対して仲間への思いを話す。


「みんながいたからあのブロッス帝国との戦いでも生きて帰ることができたんだ。だからあたしの仲間の事も信じてあげて」

「ヨナ様、ですが約束してください、必ず生きて帰ってきてください。ニーはお待ちしております」

「必ず帰るよだから、今の間に避難して」

「はい」


 ニーが避難することを決意すると、ジエイがニーに声をかける。


「ですがお1人では危険でしょう、念の為護衛をつけましょう」

「ありがとうございます」


 ニーと兵達の避難準備が始まる。いよいよグラッスの王宮へと向かう時だ。

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