家族も仲間も
ヨナは例え側近を捕縛しても、国王は自らの能力の不安から側近を捕縛した自分達を逆に反逆者扱いする恐れを話したが、その話を聞いたミニルが自分の考えをヨナに話す。
「多分、王様はあなた達を見捨てるつもりはなかったのよね。だって一度はルルー様の申し出を断っているんだから」
「でも結局側近の言葉を受けて、前言を撤回しているんだよ。だからやっぱり側近の言いなりなんだよ」
「だから私達でその側近を捕まえたらさ、王様をしっかり支えていけるようにできないのかな、あなたのお父さんや、あなたも」
「父さんはともかく、あたしにそんな資格あるのかな?」
ヨナの問いにミニルが返答をする。
「あなたもこうやって国を正しい方向に導きたいって思っているからこうしているんじゃない。だからヨナにも資格はあると思うわ」
「でもあたしはこの作戦が上手くいったら、トッポックスは父さんにまた領主に戻ってもらって、その後は父さんの血を引いたフランツが継いでいくのがいいと思う。あたしがいたんじゃまた混乱の火種だよ」
「ヨナ、本当にそれでいいの?」
「え?」
ミニルの問いかけにヨナは一瞬戸惑うがミニルは更に言葉を続ける。
「さっきのニーさんとの会話や兵士の人達を見てもあなただって受け入れられていると私は思うわ。それなのに、それでいいの?」
「ミニル……でもあたしはここにいても何をすればいいか……」
「ヨナ、何をするかは終わってから考えてもいいと思うわ。あなたがここにいたいかどうかを教えてもらっていい?」
「あたしは……」
ヨナの気配の変化を察したジエイがウィルに声をかける。
「ウィル殿……」
「ああ……」
ウィルも何かを察したのかジエイの声掛けに応じて居間を出る。
次の瞬間、ヨナが涙ながらにミニルに本心を打ち明ける。
「あたしだって、ここに帰りたい。確かに昔は辛かった。でも父さんはあたしを受け入れてくれたしフランツだっていい子だ!でもあたしは……あたしは……」
泣きじゃくるヨナをそっと抱きしめてミニルが声をかける。
「傭兵団の人達も見捨てたくないんでしょう、分かるわ」
「あたしが……あたしがここに残ったらあいつらは……」
「この作戦が終わったら一度ルルー様達やジエイさん、もしかしたら父さんの荷船の仕事にも就けるかもしれないし」
「迷惑じゃない……」
「きっと父さんなら大歓迎よ、全員は無理かもしれないけど。それにきっとみんな考えてくれるわ」
ヨナはこの日何度もこらえていた涙を大いに流した。自分が傭兵団長として涙を見せられないとこらえていた分を……。
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