守るもの
トッポックス領主の屋敷より代官を追放したヨナ達は居間にある椅子に座って一息つきながらも話をしていた。
「ねえ、ジエイさん、屋敷を取り返したのはいいけど、これからどうするんですか?」
「俺も気になっていた。ここには俺達しかいないし、きっとここをまた取り返しにくるぜ」
ウィル、ミニル、それぞれの疑問に対し、ジエイは返答をする。
「多分もう領内には我々が屋敷を奪還したことは伝わっているでしょう、領内でも動きがあるはずです」
「まさか奴らの手下がすぐに来るのか?」
ウィルがすぐに新手の兵が現れることに不安をおぼえるが、そんな時居間に傭兵が現れ、ヨナに声をかける。
「姉御、さっきの代官の兵が投降を願い出ていやすが、どうしやす?」
「投降?あたし達に降伏するって事?」
更に別の傭兵が現れ、ヨナにあることを告げる。
「姉御、領民だと思いやすが、姉御に会いたいと言ってやすぜ」
「どういう事?とりあえずまずは投降した兵をここに連れてきて」
「多分、この部屋には入りきりやせんぜ」
「代表数名でいいから呼んできて」
ヨナからそう言われて、傭兵は投降を申し出た兵の代表数名をヨナ達のいる居間まで連れてくる。
兵がやって来て、ヨナを目にすると突如膝をつき、頭を下げながら言葉を発する。
「申し訳ございません!本来ならばダリル様が捕らわれる際に死を覚悟してでも戦うところをあの逆臣共に我が身可愛さに屈してしまいました!」
「え?ちょっと、何を言っているの?」
「そして、ダリル様のご息女であるヨナ様に対し剣を向けた事を本来ならば我らが命をもって償わなければなりませんが、もう1度機会をお与えいただくべく参上しました」
「何の機会?」
ヨナの言葉を聞いて兵士の1人がウィルに目をやりながら話し始める。
「あちらの方がおっしゃった、国王陛下を欺く逆臣を討つ機会をです。それ位しか我らのできる償いはありません」
「……あのさ、あんた達の協力は受け入れるけど1つ言わせてくれる」
「なんでしょうか?」
「別にあたしはあんたらが命で償う必要はないと思っている。あんた達にも家族や守りたいものがあったなら、あいつらに従うのも仕方なかったと思うよ」
ヨナの言葉を兵士は黙って聞いており、更にヨナは言葉を続ける。
「だからさ、それぞれに守りたいものがあるならそれを守るために戦おう。あたしはトッポックスを取り返したら父ダリルと弟のフランツに返すから」
ヨナは強く訴える。領主の娘というには少し不器用だがそれでも真っすぐな思いを。
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