契約破棄
傭兵団の結成された経緯をギン達に打ち明けたヨナであったが、肝心の部分がまだ聞けていないとブライアンがヨナに対し、言葉を発する。
「なあ、そろそろ何で親父さんに私兵として雇われたか話してくんねえか」
「慌てないでよ、ちゃんと話すから。師匠が死んでからしばらく師匠が引き受けていた依頼もあたし達がこなしていたときだった」
そこからヨナは義父であるトッポックス領主に私兵として雇われる経緯を説明し始める。
「そんなある日、領主の使者って名乗る男達が仕事の依頼をしたいと声をかけてきて、最初は戸惑ったけど、あいつらのこともあるし、とりあえず話だけでも聞くって事で屋敷に行ったら、……父が……、父さんが出迎えてくれた」
そこからのヨナは涙ながらに話しだす。
「小さな部屋で話したんだけど、まずは謝ってくれたよ。『お前を守ってやれなくてすまない』ってさ、義母が病死してからあたしの事を探していたらしくて、そこで傭兵団の話を聞いて、連れてくるよう命じたんだって。そしてあたしにこう言ったよ。『親子は名乗れなくても、お前をトッポックス領主私兵として雇う、それぐらいしかお前にできる事はないがいいか?』ってね」
ヨナの言葉を聞いて、ギンが疑問に抱いたことを尋ねる。
「ヨナ、それでお前は良かったのか?父親を恨んではいなかったのか?」
「父さんも苦しんでいたし、それにあたしは本当なら死んでたかもしれないのに、自分の子として育てようとしてくれた。これだけでも感謝してるよ」
「あの時、父親が拘束された時も本当は助けたかったんじゃないのか?」
「……、そうだよ、でもあいつらをあたしのわがままに付き合わせちゃいけないって思ってさ……」
ヨナがそう言うと、どこからともなく声がする。
「そいつは違いますぜ!姉御!」
教会の聖堂に入って来たのはヨナの傭兵団達であり、ヨナが言葉を発する。
「あんたら⁉一体どうしたんだい⁉」
「俺達の為に姉御がそんなに苦しむ必要はねえですぜ!」
「そうでさあ、悪いが話しは全て聞かせて頂きやした。俺達は今まで姉御にだけ重荷を背負わせていた。この話を聞くまでそんな事に気付きやせんでした!」
「あんたら……」
傭兵の1人がヨナに対し言葉を発する。
「俺達は姉御の行くところならどこまででも着いていきやす。姉御のしてえことをしてくだせえ!」
「あんたら……バカだね、あんた達は。でもあんたらがいたからあたしもここまでこれたんだよありがとう」
ヨナはルルーの方に身体を向き直して訴える。
「やっぱり、あたし王様を説得してみる。それでもダメなら……」
「グラッスと戦うの⁉ダメよ、危険すぎる。あなたと傭兵団だけでは無理よ。グラッスと帝国、両方に秘密裏に使者を送ってどうにかするから、ここは……」
「それじゃあ、遅いんだよ!多少でも強引に介入しないと、あの側近達は止められなし」
「あなた達は、ミッツ教団と契約をしているのよ、勝手は許されないわ!」
ルルーが強く契約を訴えると、ヨナは強く反発する。
「それじゃあ契約は破棄する!あんた達とはここまでだ!」
突如、契約の破棄を訴えるヨナ、このままヨナはギン達と離れ離れになってしまうのか。
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