傭兵ヨナ、生きる為に
ヨナが自らがかつて住んでいた村を魔物に襲われ、その際に唯一生き残り、そこでトッポックス領主に引き取られて養女になったことをギン達に打ち明けていた。
「弟が生まれてから、それまであたしの中で積もったものが爆発して、思わず屋敷を飛び出しちゃったんだ」
ヨナが屋敷を飛び出したという話を聞いてブライアンが声をあげる。
「何だお前、家出娘だったのか⁉」
「何かあてがあったわけじゃないけど、ただあそこにいるのが辛くて……」
ヨナがそう言うとギンはヨナのある事が気になり、尋ねる。
「それで、傭兵になったわけか、だがお前の弓の腕を見ていると単なる我流とは思えない、誰かに師事していたのか?」
「そうだよ、後先考えず屋敷を出たあたしは魔物の巣に入り込んでしまって、今度こそ死ぬと思ったよ、でもそこであたしを助けてくれた女傭兵がいた」
「まさか、その傭兵が……」
「そうだよ、あたしの師匠だよ。たまたま依頼があって、魔物討伐をしていて、あたしはついでに助けられたんだ」
傭兵に助けられた話をギン達にして、さらにその傭兵とのやり取りの内容を話す。
「魔物の巣にいた理由を話したら、あきれながらこう言われたよ『甘ったれ』ってね、だからそう言われないようにするにはどうしたらいい?って聞いたんだよ、そしたら『強くなるしかない』って言われたよ」
「それで弟子入りしたのか?」
「まあ、そんな簡単にいかなかったから、とりあえず体力には自信があるってことを証明したよ。踊りの練習をさせられていたからね、踊りは身に付かなかったけど、体力はついていたし、とりあえず1週間様子見ってことになった」
そこからのヨナは師匠との生活を語る。
「それから弓を中心に特訓していった。師匠はあたしに一番向いているのは弓だってことで徹底的に仕込まれたよ」
「そうなのか」
「そんなある日、街で盗みを繰り返す奴らがいるから懲らしめてやったんだよ」
「まさか、そいつらは……」
ギンが気付いたことに、ヨナが言及する。
「そうだよ、傭兵団の奴らさ、師匠がそいつらを監視の名目で引き取って傭兵として育てたんだよ。師匠は領内で信頼があったからね」
「お前にとってもあいつらにとってもいい師匠だったんだな」
「そうだよ、でも師匠が病気で死んであたしが仕切ることになり、魔法の弓もあたしが引き継いだ」
傭兵ヨナはこうして誕生し、そして傭兵団は結成されたのだ。
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