帰りを待つ人

スップのミッツ教団の教会に戻り、司祭に帝国との会談の結果を報告するが、帝国軍の遠征部隊が壊滅するという情報を知り、ギン達は少しづつ帝国への反撃を試みる国が出てきていることを実感する。


 そんな中、司祭が一同に声をかける。


「ひとまず皆さんにはお疲れさまと私から申し上げます。帝国との戦いを休戦に持ちこみ、我らの敵を魔族まで絞ったのは少しづつですが平和に近づいていると信じたいと思います」


 司祭の言葉を聞き、ルルーが返答をする。


「ありがとうございます、司祭様、ですが帝国の分裂は新たな火種にもなるので、我々は帝国の支援もするべきだと思います」

「まずは正式な休戦協定後に帝国との同盟。そこからですね」

「はい」


 ルルーと司祭がやり取りをしている中、エイムが司祭に話しかける。


「あの司祭様、ちょっとよろしいでしょうか?」

「何でしょうか?」

「プラナさんはどうしているんですか?見たところ教会にいそうではないので」


 エイムがプラナのことを司祭に尋ねたので、思わずギンは慌ててエイムに声をかける。


「エイム!どうしてお前がプラナの事を聞くんだ⁉」

「ギンさんが聞きづらそうだったので、私が聞かないと、次いつ会えるか分からないと思って」

「エイム、気持ちはありがたいが、ウィルやミニルも実家に帰らずここに来ているし、エイムだって本当は……」

「私の事なら気にしないでください、プラナさんにも帝国やカイスさんの事を話しておかないと不安でしょうから」


 ギンとエイムがやり取りをしているとウィルとミニルがギンに声をかける。


「エイムの言う通りだ、俺達に遠慮する必要はねえよ」

「ええ、きっとプラナさんもギンさんの帰りを待ってますし、帝国やカイスさんの事は気になってますよ」

「お前達……」


 仲間達からプラナに会うよう勧められているギンに対し、司祭が声をかける。


「ギン殿、やはりあなたにはプラナ殿のことは話しておいたほうが良いですね」

「司祭殿……」

「プラナ殿は現在この街より少し離れたミッツ教団が運営している孤児院で子供達のお世話のお手伝いをしてもらっています」

「孤児院で⁉」


 さらに司祭は話を続ける。


「やはり、以前この街を襲撃し、顔を覚えている方がいらっしゃるでしょうから、我々としても大騒ぎにするわけにはいきませんからね」

「申し訳ありません、俺や妹の為に司祭殿にご迷惑をおかけして」

「いえ、彼女の扱いを悪くすることは我らと帝国の関係もまた悪くなりかねませんからね、それに我々を手伝う事で彼女の罪悪感が少しでもやわらげるのが今後の彼女の為ですからね」


 妹がよき扱いを受けていることに少し安堵するギンであった。

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