再度の帰還

ギン達はループの馬車、ゲンジの馬車をそれぞれ御して、ニリからスップまで向かっていった。


 途中の街に泊まりながら、数日かけ、ようやくスップまで到着したのだった。


 教会前に着くと、ルルーが一同に声をかける。


「とりあえず、馬車はここで停めましょう、私達が帰ってきたことが分かれば、教徒がどうにかすると思うから」


 ルルーが言葉を発するとムルカが反応し、声をかける。


「では、ルルー参ろうか」

「はい」


 そう言って、ムルカとルルーは教会に入り、言葉を発する。


「ムルカ、ただいま戻りました」

「同じくルルー、ただいま戻りました」


 ムルカとルルーの声を聞いて、司祭が反応をする。


「ムルカ、ルルー、皆さん、よくぞご無事に戻って来てくれました」


 司祭の出迎えの言葉にルルーは礼の言葉を述べると早速現状の説明を始めようとする。


「ありがとうございます、司祭様、それで現状のことですが……」


 ルルーはブロッス帝国皇帝ギガスとの戦闘に勝利し、そのまま休戦交渉を試み、帝国が同意したこと、更にその直後に魔族によってギガスが命を落とした事を司祭に話した。


「そうですか、絶対的王者であったギガス皇帝を失った帝国の弱体化は避けられそうにないですね」

「申し訳ありません、まさか既に魔族が帝国に侵入していたとは」

「いえ、あなた方の責任ではありません、しかし帝国内だけではなく帝国外も何かしらの動きがありそうですね」


 司祭がそう言うと、ミッツ教徒が大聖堂に入って来て、司祭にある報告をする。


「司祭様」

「どうしましたか?」

「先程プレツ軍の方から聞いたのですが、リーズ公国に遠征していたブロッス帝国の部隊が壊滅したと」


 ブロッス帝国の遠征部隊の壊滅の報告を受けてギンが驚愕のあまり、声を出す。


「何だって⁉教徒殿、それは確かなのか?」

「ええ、軍の方がムルカ様やルルー様も帝国と交戦しているはずだから、司祭様のお耳に入れておいた方が良いのではないかと言われましたので」


 その情報を聞いて、ブライアンも疑問を口にする。


「しかし、何だって帝国の部隊が壊滅状態まで追い込まれるんだ?」

「撤退の際に反撃をくらい、そのまま押し切られたとの報告がありました」


 教徒の言葉を聞いて、ムルカが司祭に尋ねる。


「司祭様、プレツはこの先どうしていくおつもりですか?」

「先程のあなた方の報告に、正式な使者を帝国がこちらに派遣している以上、まずは正式な休戦協定を結ぶ必要があるでしょう。その点に関しては国王陛下に私のほうから話しておきます」

「お願いします」

「ですが我が国だけが結んでも事態は好転しません、同盟国がどれほど帝国との休戦に納得するかですね」


 早くも帝国に反撃を試みる国が現れた。この先の事態を好転する術はあるのか?

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