終戦へ向けて

 ギン達との戦いに敗れたブロッス帝国皇帝ギガスは、自らの首を差し出し、ブロッスの将兵ならびに民の命を保証するようギンに懇願するが、ギンはその必要がないと言い放ち、再度ギガスはギンに尋ね直す。


「ギンよ、それは余に情けをかけるのか?敗れたとはいえ、余は誇り高きブロッスの王だぞ。それは……」

「帝王ギガス、あなたの部下のカイスの配下だったプラナという騎士からあなた方が平和を望み、この戦いを始めたという事を聞いた」

「それがどうした?」

「方法は違えど、俺達もあなた方も平和を望んでいた。今こそ魔族に対抗する為に休戦をする必要はあると思う。せめて話だけでもできないか?」


 ギンの問いかけに対し、ギガスはしばらく考え、すると突如大きく笑い出す。


「フハハハ、よかろう主らは我々の流儀にのり、その上で我らに勝利をした。敗者たる余が今度は主らの流儀にのろう」

「それじゃあ……」

「とりあえずは主らの話を聞こう、聖職者よ、少しよいか?」


 ギンが懇願していた話し合いにギガスが応じると共にルルーを呼び、ルルーがギガスに近づく。


「なんでしょうか?」

「カイスとエンビデスに治癒魔法をかけてやってくれ、特にカイスは命に関わる」


 ギガスの言葉を受け、カイスがギガスに対し、声をかける。


「それならば陛下も治癒魔法を受けるべきです」

「余なら心配はいらん、武神の力で傷は徐々に治癒されておる、もっとも、この代償でしばらく休まねば武神の力は使えぬがな、さ、聖職者よカイスとエンビデスに治癒魔法を頼む」


 ギガスの思わぬ懇願にルルーは戸惑うが、ムルカより声をかけられる。


「ルルーよ、今のギガス皇帝には敵意を感じん。他の2人にしても皇帝の意に背いてまで我らとは戦わんだろう」

「分かりました。2人を治癒します」


 そう言うとルルーは呪文の詠唱を始める。


「我を加護し神ミッツよ、わが信仰と力を糧に我の望みに応えよ。彼の者らの傷を癒し給へ。回復の力キュアパワー


 ルルーの手から眩い光がカイスとエンビデスに放たれ、2人の傷がみるみる治っていく。


 カイスは自らの傷が治ったことを実感し、エンビデスも傷が治ったことを確認し、ギガスにあることを尋ねる。


「治ったか、さすがに魔力までは戻らぬか。して陛下、いかがなさいますか?」

「うむ、とりあえず帝国の代表として余と主が会談の場に出るべきであろう、そちらはどうする?」


 ギガスに誰が会談に出席するかを尋ねられるギン達もどうするべきか話していた。


「どうしますかムルカ様?」

「まず私が出るべきではあるな。それからルルー、貴殿も頼む」

「分かりました」

「うむ、ギン殿、貴殿にも頼めるか?」


 思わぬ問いかけにギンがムルカに尋ね直す。


「俺もですか?」

「貴殿は休戦をしきりに訴えていたからな、我らよりも思いを伝えやすいと思ってな」

「分かりました、俺も出ます」


 いよいよギン達と帝国との会談が実現した。会談の行方は?

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