和平の意味
ブロッス帝国皇帝ギガスとの戦いに勝利したギン達は、かねてより望んでいた帝国との休戦の為の話し合いが実現した。
エンビデスが会談に適した部屋にギン達を案内する。
「では、この部屋で会談を行おう。陛下よろしいですかな?」
「良かろう、では余とエンビデス、そしてそちらは……」
ギガスが尋ねようとすると、ムルカがギガスに対し返答をする。
「プレツ国ミッツ教団神官戦士ムルカとシスターのルルー、そして我々の護衛であるギン殿が参加させて頂きます」
「そうか、カイスよ」
ギガスはカイスを呼び出し、カイスはギガスに駆け寄る。
「はっ」
「主らはここに領主軍が接近した時の説明を頼む。行き違いがあっただけで、元々話し合うつもりであったと」
「それで、領主達は納得するでしょうか?」
「納得せぬものがおったら、国庫より戦費を負担するとでも申しておけ。おそらくそれでほとんどの領主は黙るだろう」
さらにエンビデスがカイスに対し、補足説明を加える。
「陛下のお言葉として伝えれば疑う者はおるまいが、念の為、そういった処置も必要であろうというだけだ」
「承知しました陛下、このカイス、陛下のお言葉をお伝えします」
会談に加わらないブライアンが自分達のここでの役割が気になり、エンビデスに尋ねる。
「なあ、俺達はどうすりゃいいんだ?」
「お前達はカイス達と共にいてやって欲しい、それが現在話し合いをしているという証になる」
「それなら領主達への説明はカイスに任せた方が面倒なことになりそうにねえな」
「そうだな、賢明な判断といえよう」
エンビデスとブライアンがやり取りをしているとギガスがエンビデスに声をかける。
「では、そろそろ入るぞ、エンビデス」
「はっ、お前達もこの部屋に入るがよい」
そう言って、ギガス、エンビデス、そしてギン、ルルー、ムルカも会談する部屋へと入室していく。
ギン達が入室し、扉が閉じられるとブライアンがカイスに声をかける。
「なあ、こうやってあんたとゆっくり話す時間はなかったから聞くけどよ、あんたはこの会談はどう思う?」
「我らは陛下の御意思に従うまでだ」
「俺は、あんたの考えが聞きてえんだ、きっとこういうことも見越してあのエンビデスはあえて俺達をここに残したんだと思うぜ」
「……今さら、我らの間に和平が成立するのか?」
カイスの発言に疑問が生まれた為、ブライアンは尋ねる。
「それはどういう意味だ?」
「我々は陛下の御意思に従い、帝国が1強となり、魔族を鎮圧すれば平和が訪れると信じていた。だが現状はこうだ」
「こう……だと……」
「結局、我らはただ血で血を洗い合っただけだ。このまま和平が結ばれたとしても、互いに憎しみや恨みを募らせている。そんな和平に意味があるのか?」
多くの命を奪い合った結果の和平に疑問を抱くカイス。それを聞いたブライアンやエイム達は何を思うのか?
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