魔法戦士ギン

帝王たる者

エイムが放った魔法を纏わせ、新たなる魔法剣を発動させたギンはその剣でギガスの肉体を切り裂くことに成功する。

　ギンの剣戟を受けたギガスはその場に倒れこみ、エンビデスとカイスはギガスの身を案じる。

「馬鹿な……、武神と契約した陛下が敗れるとは……、それに奴らのあの魔法剣は……」

「陛下！陛下！くっ、私は何の為に、ここへ……」

　ギガスが敗れたことに驚愕するエンビデスとカイスに、ウィルとヨナが言い放つ。

「さあ、もうお前達の大将は負けたぜ、お前達もさっさと降参しろよ」

「そうだよ、あたし達はこれ以上無駄な戦いをするつもりはないからさ」

　ウィル達の言葉にカイスは激昂をする。

「何を！私は最後……ぐはっ……！」

「カイス様、やはり限界が近かったのですね！」

　トーラスがカイスに駆け寄っている間に、ムルカがエンビデスに声をかけており、ルルーも話に加わる。

「もはや貴殿らに、戦う余力はあるまい。そして大義もな……」

「大義……」

「そうよ、あなた達の主君たるギガス皇帝の敗北は少なからず帝国内外に影響を及ぼすわ。今までと同等の軍事力が動員できるかどうか……」

　ムルカ達がエンビデスと話している頃、倒れるギガスの近くにいるブライアンがエイムに尋ねている。

「なあ、ギガスは死んだのか？」

「多分まだ生きています、ただ……」

「ただ……何だ？」

「ギガス皇帝を纏っていた武神の力が小さくなっています。私が最初に感じたくらいの力の大きさしか感じません」

　エイムがそう言うと、少しづつギガスが起き上がる、立ち上がりはしなかったものの、座ったまま声を発する。

「はあっ……、はあっ……、まさか余が負けるとはな……」

　起き上がったギガスに対し、カイスが呼びかける。

「へ、陛下……ご無事で……何よりです」

「重傷は負ったが、武神の力で命は失わなかったようだ……だがもう戦う余力はない」

「陛下……」

　次の瞬間ギガスはギンの方に身体を向け、言葉をかける。

「剣士、いやギンよ、余の負けだ。余の首を落とすがよい。それが主らの勝ったという証になる」

　ギガスの首を差し出す言葉に対し、カイスが制止の言葉を放つ。

「なりません、陛下！陛下は帝国に必要な方です！」

「カイスよ、敗北し王はその命をもって戦いを終わらす責務があるのだ。ギンよ、余の首と引き換えにブロッスの将兵、ならびに民の命を保証することを約束してくれ」

　ギガスが自らの命と引き換えに、ブロッスの将兵と民の命を保証するよう懇願するが、それに対しギンは返答の言葉を言う。

「帝王ギガス、俺達は帝国を滅ぼすために戦っているんじゃない。この戦いを終わらしてくれればそれでいい。あなたの命を奪わなくてもそれはできる」

　自らの命をもって戦いの幕引きをしようとするギガスであったが、ギンは命を奪う必要はないと言い放つ。いよいよ終戦へと動き出す。