抵抗する者達

武神の力を纏うギガスに対し、ギンはフレイムボムを魔法剣として纏わせる技を放つがギガスには通用せず、ギンの魔力は尽きかけようとしていた。


「もはや主ではこの武神の力を纏った余に勝つことはできまい。おとなしく我らに屈したほうが身のためだぞ」

「確かに武神の力というのは想像を絶するようだ。だがお前は常時その力が使えるわけではないようだな」

「何⁉」

「そうでなければ、わざわざ開放する素振りを見せる必要はないはずだ。おそらく魔力か何かをお前も消費しているはずだ」


 ギンが武神の力に対する自らの考えを述べると、ギガスが大きな笑いを見せる。


「ハハハハ、この不利な状況でそれ程冷静な分析ができるとは大したものだ。だが、主にはどうにもできまい」

「……」

「元々の力も余に劣る主が魔力が尽きた状態では対抗する術はない。先程言った事を忘れたか」


 もはやギンの魔力が尽きたことを指摘すると、エイムが口を挟む。


「いいえ、まだ私達が勝つ方法はあります!」

「何だと⁉」

「私の魔法ならあなたの装備の魔力障壁も貫通できます。剣だけでは全てを守り切れません!」


 エイムがそう言い切るとエンビデスがエイムに対し言い放つ。


「愚かな、この私がいる限りそのようなことをさせると思うな」


 そう言ってエンビデスはエイムに対し魔法を放とうとするが、横より風魔法が飛んできて、魔力障壁で防ぐ。


 魔法が放たれた先を目にするとルルーがいた。


「貴様ごときの魔法がこの私に通用すると思うか」


 エンビデスの言葉をよそにルルーはエイムに呼びかける。


「エイム!ギガス皇帝がいくら武神の力を保持していたとしても、私達と同じ人間よ!あなたはギン達を助けて!エンビデスは私達が抑えるわ!」

「はい!」


 そう言ってエイムはエンビデスをルルーとムルカに任せ、ギン達の援護に向かう。


 そうはさせじと、エンビデスがエイムに対し魔法を放とうとするがルルーより再度魔法が放たれようとしている。それをエンビデスは風魔法で弾き飛ばし、ルルーの身体が吹き飛ぶ。


「きゃあああ!」


 壁に激突する前にムルカに受け止められ重傷を負わずに済む。


「ありがとうございます……ムルカ様……」

「大丈夫か?ルルー」

「はい」


 ムルカとルルーが揃ったのを見たエンビデスは更に魔法を放つ動きを見せる。


「こうなれば2人まとめて葬ってくれよう」


 魔法が放たれる前に矢が飛んできて、それをかわす。


 矢が飛んできた先にはヨナがいたがすかさず、風の楯が飛んできて、更にウィルが水の短剣を持って接近する。


 風の楯は魔法で弾くことに成功するが、ウィルの水の短剣は僅かにかすり、傷を負ってしまう。


「くっ、この私に傷を負わすとは……」


 たじろぐエンビデスに対し、どこからともなく声がする。


「エンビデス……、後方に、下がれ……、私が……前衛を引き受ける」


 大広間に現れたのは負傷していたはずの魔導騎士団長カイスであった。


 ますますこの戦いは混迷をきわめる。

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