ブロッスの王
ギン達がカイス率いる魔導騎士団を打ち破り、城内への侵入が成功している頃、皇帝であるギガスがいる玉座の間に兵士より報告が届いていた。
「陛下!ご報告がございます!」
「うむ、申してみよ」
「城門の守備をしていた魔導騎士団が打ち破られ、敵の城内への侵入を許しました」
「そうか、して城内の迎撃態勢は?」
ギガスの問いに兵士が答える。
「既に整っております」
「そうか、ならばすぐに配置に戻れ。余とエンビデスも向かおう」
「陛下も自ら剣を握りになるのでございますか?」
「無論だ、この城の主たる余が守らんでどうする。もう下がってよいぞ」
大きく頭を下げ、そのまま兵士は配置へと戻っていく。
兵士が玉座の間をあとにすると、エンビデスがギガスに話かける。
「陛下、まさかこの城まで到達する者がおるとは、さすがに私にも想像つきませんでした」
「まさか、あのカイスが破れるとはな、あやつは余が手塩にかけて育てたというのに」
「あのギンという男、我らの想像を上回る力を秘めているやもしれませぬ。伝承通り、あるいは……」
「エンビデスよ、伝承がどうであれ、最後の勝者は我らだ。ゆくぞ」
そう言ってギガスはエンビデスと共に守備兵を配置した大広間へと向かっていく。
ギガスを守護する兵とエンビデスの部下である魔術師達も共に大広間へと向かう。
ギン達も大広間へと向かう途中で、少数ずつではあるが配置されている兵と戦いながら進んでいた。
「しかし、ギガスの野郎はどこにいるんだ。雑兵をいくら倒しても意味はねえぞ」
ブライアンがそうぼやくとルルーが声をかける。
「彼が皇帝である以上、玉座の間かもしかするともう脱出したかもしれないわ」
「それはないであろう」
「ムルカ様」
「ここで1人だけ逃亡すれば求心力を失いかねん。ギガス皇帝としてもそれは避けたいだろう」
ルルーとムルカがやり取りをしているとジエイが大きな扉を発見する。
「皆さん、この大きな扉が玉座に通じているかもしれません」
「迷っている時間はないな、ジエイ2人で同時に押すぞ」
「はい」
ギンとジエイは扉を押すタイミングを合わせて同時に押して扉を開く。
ギン達が扉を開いた先は大広間であり、そこには多くの将兵がいた。
「ギンさん、これは?」
「どうやら、敵は盛大な歓迎をしてくれるようだな。ありがたくはないが」
ギンとエイムが話をしていると、ヨナが何かに気付き、ギンに見るよう促す。
「ギン⁉あれを見て!」
「あれは……」
ギンが目にしたのはブロッス帝国皇帝ギガスであった。遂に皇帝との対面だ。
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